【井川慶氏の眼】阪神・大竹が与えた初回の四球は「出しても良かったフォアボール」
「阪神1-1中日」(26日、甲子園球場)
阪神は引き分けで単独2位浮上を逃した。首位・広島とのゲーム差は3・5となった。先発・大竹ら投手陣が奮闘したが、打線が九回1死満塁を逃すなど、あと一本が出なかった。デイリースポーツ評論家の井川慶氏は大竹が与えた初回の細川への四球ついて「フォアボールには出していいものもある」と話した。
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阪神とすれば九回、延長十回とサヨナラのチャンスを生かせなかったところに悔しさは残るかもしれないですが、この引き分けは前向きに捉えていい結果じゃないでしょうか。阪神の強みである、投手力というものが発揮された試合でした。
大竹投手は7回1失点と先発の役割をしっかりと果たしましたが、初回1死二、三塁での細川選手へのフォアボールが、一つのポイントだったのかなと思います。もちろん、満塁となることで大量失点につながるリスクはあったわけですが、決して嫌なフォアボールではなかったなと。
実際にバッテリーがどう考えたかは分かりませんが、細川選手と、その後ろを打つ石川昂選手、福永選手を比較した時に、細川選手と無理に勝負せず、歩かせてもいい状況だった。だから実際に細川選手にフォアボールを与えても、それほどペースを乱さなかったのかなと思いますね。
フォアボールというものは、状況によっては流れが悪くなってしまうものも当然あります。ただ、この初回の細川選手に対してのものは『出してしまった』のではなく『出しても良かった』という捉え方ができるもの。そして実際にゼロで抑えきった。仮にここで大量失点してしまえば、そのまま敗れる可能性もあった局面での、さすがの投球だったと思います。