岡田監督 阪神監督歴代最多514勝 藤本定義に並ぶも「そんなん関係ないやん」自身の記録よりチームの手応え

 「広島1-2阪神」(3日、マツダスタジアム)

 蒸し暑いマツダで偉業を成し遂げた。首位・広島に競り勝ち、岡田彰布監督が阪神監督歴代最多の通算514勝に並んだ。「そんなん関係ないやん、関係ないって」。試合後は自身の記録よりチームの手応えを口にした。

 「ヒットも出るようになったし、チャンスもつくれているからな。そこで回ってきた者が1本タイムリーが出たらだいぶ楽になるよな。こういう逃げ切り勝ちはな」

 今季は開幕から深刻な得点力不足に悩まされてきたが、ようやく上昇の兆しだ。一時は2軍降格を命じた佐藤輝に2本のアーチが飛び出し、大竹は鯉キラーぶりを発揮。終盤は継投で逃げ切り、リーグ戦再開後初のカード勝ち越しを決めた。

 「俺はマイナス思考やけど、完璧主義者やから困るんや」。昨年2月、岡田監督は焼酎グラスを傾けながらつぶやいた。「代打で打つと思ってない。打ったらラッキー。もうけもんや。次の手を考えている」。ベンチでは常に頭をフル回転。最悪の事態を想定してタクトを振るのだから、リードを奪っても楽観的になれるはずがない。勝負の先の先まで読み、球団史上最多に並ぶ514の白星を積み重ねてきた。

 “老将”という言葉も似合わない。今年11月には67歳を迎える。今も変わらぬ活力に陽子夫人は「タフさは桁違い。基礎的なエンジンが違う」と驚きを隠さない。一方で人知れず心身を削ってグラウンドに立っている。

 陽子夫人によると「どこでもしっかり寝られる人」。そんな岡田監督が眠りに就くことができない日もあった。5月31日のロッテ戦。1点リードの九回に追い付かれ、延長十回サヨナラ負けで今季初の4連敗を喫した夜は、悔恨のあまりほぼ一睡もできなかった。勝利への執念は老境を迎えても衰えることを知らない。

 「7月に入ってオールスターまで区切りやな。そこでどんだけ貯金を積み重ねられるかやろな」

 苦境を乗り越え、将は勝負の夏場を見据える。貯金も2とし、2位に再浮上。首位・広島とは2ゲーム差に接近した。今秋も宙を舞う。稀代の名将は“球道一筋”に連覇の道を突き進んでいく。

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