阪神・佐藤輝と広島・矢野が見せた対応力 岡義朗氏「工夫できる選手が結果を残せる」
「広島1-2阪神」(3日、マツダスタジアム)
阪神が連勝で広島とのゲーム差を2に縮めた。広島・九里亜蓮投手、阪神・大竹耕太郎投手とも安定感があるだけに、数少ないチャンスをどう生かすかが勝負を分けると目されたが、予想どおりの僅差。デイリースポーツ評論家・岡義朗氏は両チームの得点について「工夫」という共通項を感じ取った。
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まず2カ月以上、本塁打を打てなかった佐藤輝について驚きとともに振り返ったのが、その“構え”だった。
「昨日まで、バットを構えたときに右肩がショート方向に入っていて、少し前かがみのような格好になっていたのに、今日は上体を起こして構えていた。1日で全然違う構えになっていたからね。それが誰かの指示なのか、自分で考えてのことなのかは分からないけど」
そうすることでの効果を説明した。
「まず、ピッチャーに正対できるからしっかり見える。右肩が入って構えて、そこからバックスイングしたらさらに肩が入るから、内角球が非常に見づらくなるでしょう。今日の構えだと、バックスイングしても内角球が見える。視界が広がる構えになったことが、ホームランにつながったのかもしれないね」
もう一人、いい工夫をしたバッターがいると言う。五回に同点三塁打を放った広島・矢野だ。
「それまでと違って、あの打席、バットを長く持っていたよね」と岡氏。
その上で、強烈に引っ張った打球が一塁線を破って三塁打に。
「それまで、フライアウトが多かったでしょう。大竹の緩い球に泳いで、バットの先に当たって、しかもヘッドが返ることで力のないフライになる。矢野はそれを防ぐため、あえてバットを長く持った。これも本人の判断か、誰かのアドバイスか分からないけど、ドンピシャで結果を出したよね」
試合の中で工夫のできる対応力を持った選手が結果を残す。その好例が両チームに存在したゲームとなった。