阪神・野口 「俺には時間がない」家族への思いを力に変えた プロ初先発初タイムリー

 「阪神4-1ヤクルト」(10日、甲子園球場)

 阪神・野口恭佑外野手(23)が1点差の四回にプロ初タイムリーとなる同点の中前適時打。六回にも貴重な3点目をたたき出し4連勝に貢献した。「6番・右翼」プロ初スタメンを見事に飾った若虎は相当な家族思いな好青年だ。

  ◇  ◇

 7日、初のお立ち台で「お母さんやったよー!」と叫んだ野口は、家族思いな好青年だ。大学から社会人には行かず、プロを目指すと決意。ドラフトが迫った4年生の時には「俺には時間がない」が口癖だった。

 その言葉には続きがあった。「じいちゃんばあちゃんが元気なうちに、プロになる姿を見せたい」。いつも応援してくれる祖父母になんとしても見せたかった。24時間制のジムに入会し、トレーニングに明け暮れた。

 そして、“じいちゃんばあちゃんパワー”で夢をかなえた。育成1位で阪神に入団。筑後での2軍戦には両親、祖父母が駆けつけ、試合後は家族と談笑するのが恒例だった。筑後で放った“プロ1号”ボールも応援に駆けつけていた、じいちゃんにプレゼントした。

 プロ入り後の初任給は、自分ではなく、家族のために使った。慣れない関西で、慣れない高級店に出向き、父にルイ・ヴィトンの財布、母にはセリーヌの財布をプレゼント。2歳下の妹にはアップルウオッチを贈った。

 特に、母・和香子さんはいつも気にかけて連絡をくれる。野口は「しょっちゅう連絡来ます」と笑ったが、続けてこう言った。「僕がしっかりしてないからですかね。しっかりしないといけないですね」。家族への思いを野口は甲子園で力に変えた。(デイリースポーツ・阪神担当・山村菜々子)

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