甲子園球場100周年 記憶と球史に残る猛虎名場面勝負を振り返る

 8月1日に開場100周年を迎える甲子園球場。タイガースの本拠地として猛虎戦士が熱い戦いが繰り広げ、数々のドラマが生まれた。ファンの記憶に刻まれ、球史にも残る甲子園名場面ベスト10をお届けする。

  ◇  ◇

 【2リーグ分立後初優勝 1962年10月3日・広島戦】

 1リーグ時代の1947年を最後に優勝から遠ざかっていた阪神が2リーグ分立後、初優勝を飾った。マジック1として迎えた広島戦。先発・小山が3安打完封でシーズン27勝目をマーク。打線も10安打6点を奪った。約1000人のファンがグラウンドになだれ込む中、就任2年目の藤本監督が宙に舞った。

 【江夏延長戦ノーノー&サヨナラ弾 1973年8月30日・中日戦】

 究極のワンマンショーを成し遂げた。江夏は延長十一回まで、わずか2四死球のみで中日打線を無安打無得点に抑える。その裏、先頭で打席に入ると、左腕・松本幸の初球を振り抜き、豪快に右翼ラッキーゾーンに運んだ。自らのサヨナラアーチでケリをつけ、史上初の延長戦ノーヒットノーランを完成させた。

 【驚異の4者連続弾 1976年9月19日・広島戦】

 広島とのダブルヘッダー第1試合は、虎打線の大花火大会となった。初回にブリーデン、二回に池辺、三回には田淵とブリーデンの2者連続が飛び出し、五回にもラインバックが一発。そしてハイライトは六回。2死から中村勝、掛布、ラインバック、田淵が驚異の4者連続弾。プロ野球最多タイの1試合9発で圧勝した。第2試合でも掛布、田淵、榊原が本塁打を放ち、1日で12発の花火が打ち上がった。

 【バックスクリーン3連発 1985年4月17日・巨人戦】

 “伝説のバックスクリーン3連発”が生まれたのは、開幕4試合目の巨人戦だった。1-3で迎えた七回、マウンドには槙原。2死一、二塁からバースが逆転の1号3ランを放つと、掛布が2号、さらに岡田も1号を豪快にバックスクリーンに放り込み、観衆4万5000人の度肝を抜いた。この年、阪神は21年ぶりのリーグ制覇を果たし、初の日本一に輝いた。

 【史上最長6時間26分 1992年9月11日・ヤクルト戦】

 午後6時に始まり、試合終了は午前0時26分。試合時間6時間26分は、現在もプロ野球最長記録となっている。3-3の九回、八木の打球が左翼フェンスに当たってスタンドイン。本塁打と判定されたが、ヤクルト・野村監督の猛抗議で二塁打に訂正された。すると今度は阪神・中村監督が猛抗議。当時はリプレー検証もない時代。中断時間は37分間に及んだ。結局、両軍決め手を欠いて延長十五回引き分けた。

 【新庄敬遠球サヨナラ打 1999年6月12日・巨人戦】

 4-4の延長十二回1死一、三塁で新庄が打席に入った。ここまで9号を含む3安打を放っており、巨人は敬遠策を取った。1ボールからの2球目。槙原の中途半端な外角へのボール球に、新庄は大きく踏み込んでバットを振ると、打球は三遊間を抜けていくサヨナラ打となった。以前から「敬遠球を打ちたい」と狙っていて、練習までしていたというから驚きだ。

 【18年ぶり優勝星野監督胴上げ 2003年9月15日・広島戦】

 マジック2で迎えたデーゲームの広島戦。同点の九回に赤星がサヨナラ打を放ち、マジック1とした。それから2時間8分後、ナイターでヤクルトが敗れて18年ぶりの優勝が決定。大型スクリーンに映し出されたヤクルト戦をベンチで見ていたナインはグラウンドに飛び出し、星野監督を7度胴上げ。「あ~しんどかった」。指揮官は優勝インタビューの第一声でこう漏らし、スタンドの虎党を沸かせた。

 【金本右手一本で安打 2004年7月30日・巨人戦】

 前日の中日戦で左手首に死球を受けた金本。のちにはく離骨折と判明する重傷だったが、この試合も「4番・左翼」に名前を連ねた。連続フルイニング出場の日本記録更新まであと3試合に迫っていた中、岡田監督から「出るんやろ?」と聞かれ、金本も「出ます」と即答。左手はまったく使えない状態だったが、右手1本で四回に左前打を放ち、六回にも右前打。“鉄人”だからこそやってのけた離れ業だった。

 【球児火の玉で清原斬り 2005年6月25日・巨人戦】

 救援の藤川は八回1死で清原と対戦。ストレートで勝負を挑み、最後はカウント2-2から149キロで空振り三振に仕留めた。清原は「素晴らしいストレートやった」と脱帽した。これには伏線があった。4月の巨人戦(東京ド)、七回2死満塁で両者は対戦。藤川はフルカウントからフォークを投げて空振り三振に抑えた。試合後、清原は藤川が真っ向勝負を避けたと非難し、“因縁”が注目を集めていた。のちに清原は藤川のストレートを「火の玉」と表現。「火の玉ストレート」の原点にもなった。

 【18年ぶりリーグ制覇、岡田監督6度舞い 2023年9月14日・巨人戦】

 岡田監督が超満員の甲子園で6度舞った。マジック1で迎えた巨人戦。阪神は六回に大山の犠飛と佐藤輝の2ランで3点を先制。先発・才木が7回1失点で勝利への流れを作った。最後は守護神岩崎が締めくくり、9月負けなしの11連勝で18年ぶり6度目のリーグ制覇を成し遂げた。「まさかこんなに強くなるとは」と指揮官。15年ぶりにタテジマのユニホームを身にまとった名将に導かれ、選手は「アレ」を合言葉に栄冠に突き進んだ。

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