阪神・及川 先発初星 5回2失点の力投 打ってはプロ初安打、初タイムリー、初マルチ
「阪神9-6巨人」(31日、甲子園球場)
打って投げての二刀流で甲子園開場100周年を前祝い!阪神・及川雅貴投手(23)が5回2失点の力投。バットでもプロ初安打初タイムリーを含む2安打を放ち、5年目で念願の先発初勝利を挙げた。チームも今季2度目の6連勝で首位巨人に1・5差。1日の100周年記念日はメモリアルシリーズ3連勝で盛大にお祝いや!!
勝利の瞬間、やっと頬が緩んだ。ポンポンと手をたたき、ナインの出迎えへベンチを飛び出す。「最高で~す」。5回4安打2失点で念願の先発初勝利。お立ち台では笑顔がはじけ、甲子園100周年の“前夜祭”を記念の勝利で彩った。
立ち上がり。2死一塁から4番の岡本和にスイングさせることなく、3球で見逃し三振。攻撃へのリズムを作ると、打線が爆発した。3点を先制し、なおも2死満塁で及川が打席へ。追い込まれながらも、グリフィンの148キロ直球を左翼線へはじき返した。通算5打席目でのプロ初安打初打点。「何点でもほしいと思っていたので」。一つ目の記念球が手元に届いた。
五回に1死から満塁として、2失点。さらなる失点の可能性もありながら、最後は吉川を左飛と踏ん張った。「誠志郎さん(坂本)の要求に応えられなかったので大反省です」。悔しさも残したが、これは成長への過程。
8月1日に甲子園100周年を迎える。横浜高2年夏には甲子園の100回大会にも出場。プロになっても、聖地は「特別な場所ということは変わらないかな」。高校時代は苦しさも教えてくれた。阪神ではウエスタンでの公式戦初登板初勝利、1軍での初ホールド、そして先発初勝利。たぐり寄せられるように、甲子園が記憶の1ページを作ってきた。
今季初先発の翌日、鳴尾浜に母の直美さんが激励に来てくれた。マメの心配をする母と笑顔で会話。ずっと渡したかったチャンピオンリングを手渡すこともできた。実家には日本代表のユニホームや記念品、小さなキーホルダーまで多くのグッズが飾られている。直美さんが「記念館になってます」と言うほど。この日は自宅でのテレビ観戦になったが、記念館に2つの記念球が増えた。
左のエース候補としてプロ入りしたが、1軍では中継ぎが主戦場になった。先発へのこだわりとの葛藤。悩んでいた。そんな時に先輩たちから言葉を送られた。「1軍で投げるのが全てだぞ」。モヤモヤが晴れた。与えられた場所で結果を残すしかない。その先に先発としてのチャンスが巡ってきた。リリーフを経験した分、長いイニングを投げる責任感も痛感。格別の1勝を手にした。
この勝利はチームにとっても大きな意味を持つ。今季2度目の6連勝で首位の巨人に1・5ゲーム差へと迫った。「チームも乗ってますし、その流れを崩さなかったので良かった」。及川雅貴で1勝。クラシックシリーズの伝統の一戦、歴史に名を刻んだ。