自力V消滅危機の阪神救世主になるか 高橋遥人1009日ぶり1軍マウンドへ 広島と4差…3タテ阻止へ

 「阪神1-5広島」(10日、京セラドーム大阪)

 窮地を救ってくれ-。阪神の高橋遥人投手(28)が10日、1009日ぶりの1軍公式戦登板となる11日・広島戦(京セラ)へ向けて気持ちを昂(たか)ぶらせた。チームは首位・広島に連敗して4ゲーム差に広げられ、11日に負ければ自力優勝の可能性が消滅する状況に追い込まれた。球団史上初の連覇へ望みをつなぐためにも、左腕にかかる期待は大きい。

 落胆するファンの声を聞きながら、選手たちは無表情でベンチを引き揚げた。2試合連続で広島に完敗。「39」まで減った残り試合数を考えても第3戦は負けられない。高橋は酷な状況でマウンドに立つことになった。

 それでも過去の投球を知るファンは信じている。八回終了後。11日の先発が発表されると、京セラドーム内が沸いた。復帰を祝い、快投を願うように、大きな、大きな拍手と歓声が響き渡った。

 21年11月6日のCSファーストS・巨人戦以来の1軍公式戦登板。最終調整を終えた左腕は気持ちを昂ぶらせた。練習後は序盤の質問に「上(1軍)で投げていた時も緊張していたと思うけど、前より緊張すると思う」と少し硬い表情で登板前日の心境を明かした。

 ただ、緊張感は意外な形で和んだ。囲み取材には練習を終えた才木が“乱入”し、最後まで質問に受け答えをする様子を見つめられた。

 高橋は自身と同様にトミー・ジョン手術から復帰した右腕の活躍を問われると、「いや、すごすぎて刺激を通り越しています。すごい偉大な存在なので」と絶賛した。

 すると、才木も反応して「いいっすか?僕もどうしても聞きたいことあるんですけど。今日の晩ご飯、何食べますか?」と質問。高橋が苦笑いを浮かべ、「何も決めてないんですけど。分からない」と返答すると、才木は「楽しみっすね」と笑って場を和ませた。

 9日の1軍合流後には岡田監督とも初対面。あいさつすると「初めて見た」と返されたといい、「面白いなと思いました」。少し肩の力が抜けるやりとりがあったことも明かした。

 22年4月に左肘のトミー・ジョン手術を受け、昨年6月には左肩と左手首にもメスを入れて育成選手も経験した。4月17日に実戦復帰し、ウエスタンでは10試合で3敗、防御率2・54。満を持して1軍マウンドに立つ。「トレーナーさん、理学療法士さん、チームの関係者、ファンの皆さんとかの支えがあってここまで来られた。その期間はその期間で濃いものだった」と復帰までの過程を振り返った。

 11日は両親らも観戦予定。ここまで世話になった人たちへ恩返しする1歩目となる。「思い切って投げている姿を見せられれば」。チケットは前売りで完売。大歓声の中で高揚感を力に変え、マウンドに立つ。

 ◆阪神は11日にも△●で自力V消滅… 阪神はこの日の敗戦で首位・広島とのゲーム差が今季最大タイ4差に。さらに11日の広島戦で敗れるか引き分けるかで自力優勝の可能性が消滅する。阪神は11日に敗れて残り38試合全勝で90勝48敗5分け、勝率.652。一方、広島は阪神戦残り6試合に敗れても、それ以外の試合で全勝すれば、92勝46敗5分けで勝率.667となり、阪神は広島を上回れない。11日の試合が引き分けでも、阪神は90勝47敗6分け、勝率.657。広島は91勝46敗6分け、勝率.664となる。

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