「広島２－１阪神」（２４日、マツダスタジアム）

　逆転優勝へ向けて痛恨の敗戦を喫した。阪神は２点を追う六回に森下翔太外野手（２４）が適時打を放ったが、終盤はバントミスが出て、決定打も欠いて１点差で惜敗した。首位・広島とは再び５ゲーム差。チーム唯一の複数安打となる３安打を放った３番打者は「負けられない戦い」とカード勝ち越しがかかる３戦目の必勝を誓った。

　３番の仕事を果たしても、試合後の表情は厳しかった。正念場で喫した黒星の重さを、痛感していた森下。適時打も、３安打猛打賞も、チームが勝てなければ意味がない。それでもうつむくことはない。「負けられない戦いだと思います」。最低限のカード勝ち越しがかかる３戦目に視線を向けた。

　プロ初星を目指した同期の門別の登板中には、援護点を届けることができなかった。「本当は勝ちをつけてあげたかった」と悔やんだが、２点を追う六回に見せ場が訪れた。門別の代打・渡辺と近本が連続四球を選んで、２死一、二塁のビッグチャンス。２打席連続安打を放っていた先発・大瀬良から、継投した直後の森浦と対峙（たいじ）した。

　追い込まれてからの３球目、外寄りの直球をとらえた。「真っすぐ、チェンジアップ両方対応しようと思って」。中前に打球を運んで、この日３度目のＨランプが１点差に詰め寄る適時打になると、左腕と右腕を交互に突き上げて感情をさらけ出した。

　「たまたまセンター前に行きましたけど、インコースに投げきられた時に、どうやって対応できるかで、あの打席も変わってきたと思う」。リーグ２位の得点圏打率・３３７の勝負強さを発揮しても、次戦への課題を忘れなかった。

　“天敵”からも２度の快音を奏でた。１１打席無安打と相性最悪だった大瀬良から、初回２死はカットボールを中前打。四回１死でも再びカットボールをはじき返して、二遊間を破った。「前の自分の打席から見ても、まっすぐをどんどん続ける配球はあまりなかったので、真っすぐが来ても変化球も来るかなと予測していた」。綿密な分析を２本の安打につなげた。

　ただ、チーム唯一の複数安打を記録する奮闘は実らず惜敗。残り２７試合で首位・広島とは５ゲーム差に広がった。

　もう絶対に負けられない。剣が峰に立たされて迎える３戦目。「やっぱり首位争いしているチームなので、なんとか勝ち越していければ次につながると思う」。球団史上初のリーグ連覇へ向けて、希望の灯火を消さないために背番号１は一戦必勝へ全身全霊をかける。