「広島５－７阪神」（２５日、マツダスタジアム）

　いかなる時もクールな阪神主砲が、珍しく感情をあらわにした。大山悠輔内野手が七回にこの日２本目の適時打で、２点を追加。「何があるか分からない相手ですし、１点でも多くというところでチーム全員のテーマでやってるので、良かったと思います」。勝機を高める一打に両手を打ち鳴らした後、右腕で作った力強いガッツポーズをベンチに向けた。

　七回２死満塁での第４打席。黒原の、高めのスプリットを捉えると、打球はジャンプした三塁・小園の頭上を越えて、左翼線で弾む。走者２人をホームへ迎え入れ、結果的に大きな２点をスコアボードに刻んだ。

　三回には貴重な追撃打を放った。森下の逆転３ランで流れを呼び込んだ直後、内野安打の佐藤輝が相手ミスによる二進でチャンスが続く。２死二塁、追い込まれた後のフォークをはじき返し、左前への適時打とした。

　「逆転した後でしたが、テルもつないでくれましたし、もう１点という気持ちでした。いい追加点が取れたと思います」。２死走者なしからの５連打の“トリ”を飾って、一挙４得点のビッグイニングを演出した。

　ただ、反省も忘れない。自らの一撃で、リードを５点に広げた直後の七回の守備だ。先頭・矢野の打球を捕りきれずに失策。３失点につながった。「あそこで先頭バッターをエラーで出してしまって、こういう展開になってしまったので、そこは本当に申し訳ない。助けてくれたピッチャー陣をはじめ、チームにすごく感謝してます」。仲間のフォローもあっての白星に「勝てて良かった」と胸をなで下ろした。

　絶対に落とせない一戦で３打点を挙げ、首位相手にカード勝ち越し。「勝つことが一番。でも勝つことはそんなに簡単じゃないと改めて感じてます。またチーム一丸となって勝ちに向かってしっかりやっていきたいと思います」。希望をつないだ１勝をかみしめつつ、不退転の決意を示した。