阪神・井上 難敵・東撃ちプロ1号 連敗チームに希望の一撃 5月18日以来のスタメン抜てきに応えた

 「DeNA3-2阪神」(28日、横浜スタジアム)

 痛恨の敗戦を喫した中、通算82打席目でのメモリアルアーチが一筋の光となった。5年目の阪神・井上広大外野手(23)が、六回に一時同点となるプロ1号ソロを放った。5月18日以来のスタメンで5番に抜てきされると、初回には二塁打も記録するなど存在感を示した。チームは3カードぶりの負け越しで首位・広島とは5ゲーム差。苦しい状況だが、ミラクルへの起爆剤となってくれ。

 横浜の空に希望の放物線が描かれた。黄色に染まった左翼席の中段席に白球が放り込まれる。井上は喜びの笑みを抑えきれなかった。「1点差で負けている場面で出たので、そこは良かったかなと思います」。ついに、ついに待望の一発。苦しむチームに一筋の光が差し込んだ。

 1点を追った六回1死。初球だった。東の141キロ内角直球をフルスイング。「切れないでくれ」。思いは届いた。左翼ポール際にプロ初となるドデカいホームラン。ベンチでは岡田監督ともハイタッチを交わし、ナインからも祝福された。

 練習からカウント球を仕留めることを意識していた。これは2軍でも常に頭の片隅に入れていたこと。「手出しをしないと始まらない」。不調時には消極的になりがちだった。1年目から調子が悪い時こそ、攻めの姿勢でスイング。1軍では打てる球が簡単には来ない。「空振りしても、あと2球振れる」という楽な気持ちが好結果につながった。

 岡田監督は「初ホームランやろ?そら(期待に)応えたけどなぁ」と評価。記念球も手元へと戻ってきた。「母に贈ろうかなと思います」。学生時代には、32センチという大きすぎる靴を見つけてくれるなど、女手一つで育ててくれた母の貴美さんにも最高のプレゼントとなった。

 新人時代から毎年のように打撃フォームが変わり、ノーステップ打法にたどり着いた。確実性は上がっても、なかなか長打が出ない。「もうやめた方がいいんじゃないか」。葛藤もあったが、信念を貫いた。「今年はこれでやり抜かないといけない」。ティー打撃も同じことの繰り返し。ファームでの個別早朝練習では、20球の連続ティー打撃で左膝の使い方をたたき込んだ。マシンネットの穴を狙って打球を入れ、バットの操縦性も向上。小さな積み重ねを怠らなかった。

 チームは連敗で3カードぶりの負け越し。首位の広島とは5ゲーム差に広がった。4位のDeNAとは1・5ゲーム差に縮まって、Aクラス死守にも暗雲が立ちこめる。「チームのために1本でもヒットを積み重ねていけるように、明日からもやっていきたい」。今こそ若い力が必要だ。井上広大が逆転優勝への起爆剤となるしかない。

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