阪神・近本 月間安打更新の自己最多39安打 「勝つため」ヒット量産体制 青木超え新人から6年間で906安打
「阪神4-2巨人」(31日、甲子園球場)
大記録へと着実に近づいている。阪神・近本が14試合連続安打で通算906安打とした。「積み重ねだと思う」。新人から6年間の安打記録でヤクルト・青木を抜いて歴代単独2位に浮上。8月の月間安打も39安打とし、自身最多を更新した。
「H」ランプを光らせたのは2点リードの七回だ。先頭で打席を迎えると、代わったばかりの3番手・井上の初球、低めの直球に反応。打球を二遊間へはじき返し、二塁手の吉川が捕球するも送球できずに内野安打となった。
13日の巨人戦(東京ドーム)から響かせ続ける快音。台風の影響で2試合中止になったが、勢いは止まらなかった。チームも逆転勝利で連敗を2でストップ。「逆転で、すごい大きい。逆転した後の1点もすごい大きかったと思うので。今日勝ってよかった」と表情を緩めた。
常に個人の記録よりも、求めるのはチームの勝利。シーズン中、自身の数字を見ることはほとんどない。ただ、耳からは入ってくる。「報道陣から聞かれたら、意識はしますよ」と、1年目から数字と向き合ってきた。
新人だった19年。巨人・長嶋茂雄が記録したセ・リーズ新人最多安打記録を61年ぶりに塗り替えたが、迫るたびに偉業への思いを聞かれた。「安打数は意識してできないですよ。野手がいないところに飛んでいるだけで、1メートル違っていたら捕られていたりもする。何が起こるか分からないので、今できることをやるだけ」と、1打席1打席に集中し、最終的に実った。
5年後、再び向き合うミスターの数字。6年目までの通算安打で歴代1位を記録する大先輩の926本まであと20本。残り23試合とし、更新する可能性は十分ある。「勝つためにヒットを重ねるだけだと思うので。勝つためのヒットを打ちたい」。偉業に手が届きそうでも、これまでと姿勢は変わらない。
「甲子園での試合が多くなるので。僕たちは歓声の中で野球ができるのは強みだと思う。1戦1戦頑張りたい」。逆転優勝へ、虎の韋駄天(いだてん)はチームを頂点に導くために仕事に徹する。