阪神・高橋遥人 復帰後3戦3勝 1048日ぶり聖地星「頑張ってきて良かった」 抹消せず次回13日広島戦へ

 「阪神4-1中日」(3日、甲子園球場)

 帰ってきた左腕の快投が止まらない。阪神・高橋遥人投手(28)が中日打線を7回3安打無失点に抑え、復帰後3戦3連勝を飾った。甲子園での勝利は21年10月21日の中日戦以来、1048日ぶり。お立ち台に上がった左腕に虎党から大歓声と拍手が降り注いだ。

 甲子園に高橋遥人が帰ってきた。1048日ぶりの聖地星。「甲子園で勝てたのはうれしい。ファンの皆さんが喜んでいる顔を見たら、頑張ってきて良かった」。苦しいリハビリを乗り越えたからこそ見えた景色。3勝目は努力の証しだった。

 初回から三回はあっさりと三者凡退。四回は先頭の岡林に初安打を許したが、2死三塁から4番の細川を147キロの内角直球で見逃し三振に斬った。最大のピンチは2点リードの七回。2死二、三塁と一打同点で村松を迎えた。カウント1-2から146キロ外角いっぱいの直球で空振り三振。「よっしゃ!」。ほえて、力強くグラブをたたいた。

 決して調子が良かったわけではない。「ストレートがあんまり良くないから、カウント不利が多かった」。ツーシームに頼ってしまったが、要所では直球勝負。岡田監督が「欲しい時に三振が取れるので、それが強みじゃないですか」と評価したように、ピンチでは自然とギアが上がった。

 七回に代打を送られ、7回3安打無失点でお役御免。復帰後は3戦3勝と圧倒している。甲子園での中日戦も通算8試合で6勝0敗と無傷。3年ぶりの対戦で32イニング連続無失点に伸ばした。相手右腕の高橋宏は「WBCとかで見ていたテレビの人」と表現。そんな難敵に投げ勝つこともできた。

 高橋遥人にとって、甲子園とは-。「成長させてくれる場所なのかな」。初登板初勝利も、初完投も甲子園だった。一方で初黒星を喫したように苦い記憶もある。「いい思い出も悪い思い出もあるから、成長させてくれるんじゃないですかね」。リハビリ期間の大きな原動力は「甲子園に立ちたい」。マウンドに上がる前の雰囲気、声援は格別のものだった。

 指揮官は「3試合とも完璧な投球じゃないですか」と最大級の賛辞を贈り、試合後には「ナイスピッチ」と声をかけた。これまでは一度抹消し、中10日の間隔を空けていたが「いや、抹消せえへんよ」と明言。「計算したらわかるやないか」と中9日で13日の広島戦(甲子園)で先発させることを示唆した。

 高橋の快投はチームを勢いに乗せる。上位2球団が敗れ、首位の広島とは4・5ゲーム差に接近。逆転優勝へ、望みをつないだ。「僕はまだ3試合しか投げていない。目の前の試合を頑張って投げるだけなんで」。あと21試合。この1勝が奇跡の幕開けとなる。

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