【中田良弘氏の眼】阪神・森下の急成長は本物か「どのカウントからも、いろんな球種に対応できている」

 「ヤクルト1-9阪神」(6日、神宮球場)

 阪神はクリーンアップが大爆発し、ヤクルトを圧倒した。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は先発したビーズリーの“粘投”に感心する一方で、4安打を放った森下翔太外野手(24)の打撃に注目。「どのカウントからも、いろんな球種に対応できるようになっている」と語り、夏場以降の急成長を認めた。

◇  ◇  ◇  ◇

 ビーズリーの気迫は大したもの。強烈な打球が軸足に当たったのだから相当痛かっただろうし、投球に影響がないとは思えなかった。そういう意味では五回までよくもった。

 (三回、ヤクルトの先頭打者、西川の打球がビーズリーの右ふくらはぎを強襲(記録は三ゴロ)。ビーズリーはベンチでの応急処置後、マウンドへ戻り、最終的に5回を3安打、1失点で降板した)

 三回の時点ではまだ1点リードの状態。そこからの継投では、中日戦で3試合フル回転していたブルペン事情を考えると、厳しい状況に追い込まれたかもしれない。

 発熱のブランク明けではあったが、投球内容はコントロールにバラつきこそ見られたものの、要所要所でスライダー、フォークが決まっていた。1失点も不運なヒットが絡んだものだから、全体的には悪くなかった。

 一方、打線で目を引いたのは森下だね。このところ、どんなカウントからも、いろんな球種に対応できるようになってきている。そしていいところで打つ。

 バットを若干短くもってはいるが、しっかりしたスイングをしている。投手からすると“嫌な打者”であり“怖い打者”なんですよ。

 (この試合は5打数4安打1打点。第1打席はカットボールを中前打。第2打席は直球を右へ二塁打。第3打席はスライダーを右へ二塁打。第4打席は直球を左前打)

 以前までは強引に引っ張る印象が強かったが、最近は引っ張るというより、強い打球を打つという感じ。右方向への打球ではラッキーなヒットもあったけど、どれも振り切っているのがいい。

 それにしてもここ数日で上位との差が一気に縮まってきた。阪神は首位巨人と2・5ゲーム差、広島とは1・5差。

 DeNAが先の広島戦で3連勝して阪神に迫ってきているが、阪神からすれば上位球団の足を引っ張ってくれているのだから悪くないはずだ。DeNAの巨人との2連戦(7、8日=東京ドーム)の結果次第では…面白いことになるかもね。

 この日は岡留、富田、島本、漆原という貴重な“第2ブルペン陣”も好投し、クリーンアップが爆発。森下と大山、満塁本塁打を放った佐藤輝の3人で8安打、7打点ですよ。

 残り18試合、阪神としては目の前の試合に集中して勝っていくしかないが、この快勝は勢いを加速させるいい勝ち方になったね。

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