【中田良弘氏の眼】本命チームを本格化させた2人のヒーロー 負けられないカード初戦に先発起用した指揮官と5回2失点の右腕
「阪神7-2DeNA」(10日、甲子園球場)
阪神が快勝した。絶対に落とせない試合で、精神も戦力も大きく消耗することなく勝ったことは、残り15試合に対して大きな勝利だったと言える。その立役者として、デイリースポーツ評論家・中田良弘氏は岡田監督と青柳の2人を挙げた。
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試合を見渡せば、岩崎、ゲラを休ませられたし、東を攻略したことで2戦目以降、DeNAに大きなプレッシャーをかけられた。
先日は中日・高橋宏を破り、3連勝に結びつけたが、絶対的なエースを倒すことは、その試合を勝つだけでなく、後々への影響も大きい。
巨人、広島と阪神より上位にあるチームの直接対決があるということは、どちらかは勝つわけで阪神としてはなおさら負けられないカード。岡田監督は今季1勝の青柳を、その初戦にもってきた。
そこにはいろんなメッセージが込められていただろうが、そうした中での、青柳の5回2失点は十分だろう。
まずは三回までしっかり抑えきったことが大きい。その間に、梅野が先制打を放って流れを呼び込めた。
一時、逆転を許した四回には四死球があったものの、全体としてコントロールがまとまっていた。そこへ、今季初めてとなる梅野とのコンビ。ここは岡田監督の配慮も冴えていた。
これまで勝てなかった最大の理由がボール先行で球数が増えて…、という悪循環にあっただけに、この日の青柳のように制球がそれなりであればしっかり戦力になれることを示したのではないか。
特にまだどちらに転ぶか分からない五回無死一塁から蝦名を二ゴロ併殺に仕留めたところは試合の分岐点。これも制球があればこそで、残り試合にも期待が持てる投球だった。
その裏は、木浪、島田とバスターを決めて、そこから追加点に結びつける。監督の采配と、選手の動きが見事にシンクロして、気がつけば大差、という展開となった。ますます、残り試合が楽しみになってきた。