阪神・前川 8月1日以来の猛打賞 中野バットでキレ取り戻した トンネル脱出の出場6戦ぶり安打

 「阪神7-3広島」(13日、甲子園球場)

 阪神・前川右京外野手がようやく長いトンネルを抜け出した。打席を重ねる度に表情は明るくなっていく。3度目の“カモメポーズ”は満面の笑みで決めた。

 「ずっと打てていなかったので。思いっきりいこうと思いました」

 1点を追う二回1死で、出場6試合ぶり安打となる右前打を放ち、同点を演出。五回1死でも右前打で得点につなげた。さらに六回1死一、二塁では外角直球を完璧に捉え、8月18日・中日戦(バンテリン)以来の長打となる右中間への適時二塁打をマーク。8月1日・巨人戦(甲子園)以来の3安打猛打賞を果たした。

 安打が出なかった1週間は、気持ちもどん底に落ちきっていた。「どうやって打てばいいんですかね」。フリー打撃でも思うようにバットが出てこない。原因は体の疲労か、精神的な疲労なのか。もがいても答えは見つからなかった。

 解決策を模索する中で、練習時に手に取ったのは、自身が使用しているバットよりも軽い中野のバット。思うように動かない体の声を素直に聞き、先輩のバットで打撃練習を重ねてスイングのキレを取り戻した。「状態的にもよくないと思っている」。手応えはない中でも、結果が出たことが何よりも良薬となった。

 「ここをどうふんばるか。『やったんで』みたいな感じでみんな燃えているので、それについていきます」。高卒3年目でここまで1軍フル帯同。必死に食らいつく先にさらなる飛躍が待ち受けている。

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