阪神・中野 V記念日に今季初サヨナラ打 「優勝することだけを考えて」巨人2差接近で15日にも自力V復活

 「阪神4-3広島」(14日、甲子園球場)

 18年ぶりのリーグ優勝を決めた記念日に、劇的な勝利が待っていた。阪神は3点ビハインドを追い付き、九回に中野拓夢内野手(28)の中前適時打で今季7度目のサヨナラ勝ちを収めた。岡田監督が宙に舞った23年9月14日からちょうど1年。あの歓喜をもう一度、味わいたい。首位・巨人が敗れて2ゲーム差。ミラクルアレンパへ、岡田虎の歩みが力強さを増してきた。

 苦しみから解放されたように、満面の笑みで両手を突き上げた。中野が日の沈んだ甲子園を明るく照らす。「絶対に自分が決めるという気持ちでした」。今季初のサヨナラ打。少年に戻ったように無我夢中でダイヤモンドを駆けた。

 同点の九回2死二、三塁。黒原の高めカットボールを振り抜いた。白球は中堅の前に弾み、スタンドの虎党は総立ち。「水をかけられるの嫌だったんで、必死に逃げていたんですけど…」。歓喜の水でユニホームをビショビショにぬらし、うれしそうに跳びはねた。

 同点の七回2死満塁では森浦に空振り三振。またチャンスで打てなかった。「とても悔しい思いをした分、必ずチャンスは回ってくると思っていた」。このままで終わるわけにはいかない。強気に自分の背中を押した。

 8月は月間打率1割台のどん底。犠打でチームに貢献することも「打ててないから」。現実を受け止め、弱気な言葉が目立った。それが9月に入って一転。この日の試合前、久しぶりに打撃で前向きなせりふを聞いた。「やっと落ち着いてきたよ」。チャンスで凡退しても、やり返すという気持ちが自然と芽生えた。

 力みをなくすためにフォームを微調整。好調時は中堅から逆方向に打球が飛ぶが、練習ではあえて引っ張る意識を強めることもあった。「少し遅かったけど、大事な時期に新しい発見ができた」。シーズン序盤から試行錯誤を重ねてきた結果、ようやく“正解”にたどり着いた。

 23年9月14日はリーグ優勝を決めた。ウイニングボールを捕り、両手を突き上げてから1年。「去年はあっという間に感じた。今年は苦しい時期があった分、長く感じるけど」。あまり表には出さないが、選手会長としてチームを引っ張る気持ちは人一倍強い。球団史上初の連覇を達成した時が報われる瞬間だ。

 チームは広島に連勝で今季最多の貯金9。今季7度目のサヨナラ勝ちで2カードぶりに勝ち越し、首位・巨人が敗れたため2ゲーム差に再接近した。「選手は上しか見ていない。優勝することだけを考えて、目の前の試合をどうしたら勝てるか考えながらやっている」。残り12試合。勝利への執念を燃やし、最後は今季一番の笑顔を咲かせる。

 ◆15日にも自力V復活 条件は阪神が15日・ヤクルト戦に勝利。さらに巨人が同日の中日戦に敗れると、阪神の自力優勝の可能性が復活。

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