阪神・中野 JRA松山騎手から受けた刺激 一鞍に「命懸け」「自分たちも気持ちを出していかないと」
「阪神4-3広島」(14日、甲子園球場)
阪神は3点ビハインドを追い付き、九回に中野拓夢内野手(28)の中前適時打で今季7度目のサヨナラ勝ち。劇的勝利に導いたヒーローの意外な交友関係を担当記者が明かした。
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週末の一つの楽しみは競馬。中野は坂本と一緒に予想をして、楽しんでいる。交流戦が終わり、JRAの松山弘平騎手と3人で食事をする機会があった。阪神ファンの松山騎手と競馬ファンの2人。職種は違えど、一流のプロ同士が焼き肉の煙を挟んで、自然と質問合戦になっていった。
真剣な話や笑い話が入り交じる中、落馬事故で4月10日に他界した藤岡康太騎手との思い出話にもなった。2人はグラスを置き、松山騎手の言葉に耳を傾けた。命懸けの仕事。中野は勝利への執念を改めて思い起こされた。
「騎手の方はやっぱり命懸けでやられている。自分たちも毎試合、勝ち負けがつく。もちろん負けていい試合があるとは思っていない。全員で勝ちにいった結果、負けてしまうことはある。だからこそ、毎試合、勝ちに対する気持ちを持っていかないといけない」
ジョッキーの一鞍に注ぐ熱量を知った。野球は打撃で3割打てば一流で“ミス”がほとんどのスポーツ。「自分たちが野球をしていて死に関わることはほとんどない。だから、もっと自分たちも気持ちを出していかないといけないのかな」。この日は勝利に導く一打で喜びの感情をむき出しにした。
サインのお返しにと、松山騎手からはデアリングタクトの三冠馬記念シールなどをプレゼントされた。6月26日の中日戦でヘルメットのつばの裏に装着。「試合中に気になっちゃって」と1試合限定だったが、今は自身のiPadにつけている。トップジョッキーからの言葉を胸にしまい、最後の直線を全力で駆け抜ける。(デイリースポーツ阪神担当・今西大翔)