阪神・原口 神様健在の代打同点タイムリー 仲間の運気上昇を願う優しい男「右肩上がりじゃないとダメ」

 「阪神4-3広島」(14日、甲子園球場)

 久々の好感触に感情をさらけ出した。値千金の同点打を放った阪神・原口文仁内野手(32)は、握りしめた右拳を何度も揺らした後、ベンチを指さしてチームメートと歓喜を共有。「こういう最高の場面が来ると思って準備していたので。しっかり自分のスイングができたと思います」。14試合ぶりの試合出場で、代打の神髄を発揮した。

 1点差に迫った七回1死満塁で、出番を告げられた。ラッキーセブンの猛攻に高まる甲子園のボルテージ。サングラスを装着し、8月25日・広島戦(マツダ)以来となる打席に向かう。

 「やっぱり打席に立たないと調子はつかめなかったんで。試合に出ればね、修正箇所だったり見えてくるんですけど。自分の中ではチェックポイントはあったので、そういうところは意識しながら過ごしていました」

 森浦のファーストストライク、内寄りの直球を引っ張ると打球は三遊間を破った。7月14日・中日戦(バンテリン)以来となる適時打。これで今季満塁では3打数2安打、打率・667という勝負強さだ。“アレ記念日”の「9・14」を飾った一撃に、「やっぱり甲子園の大歓声はすごいなと感じました。去年優勝したときぐらいの。僕もちょっとよみがえりました。いいイメージが湧きました」と白い歯をこぼした。

 グラウンドを離れても、優しい心でチームを思う。選手が通る球場内通路の壁に張られたマグネット製の案内板が、左から右へ下がる形でズレていたことがあった。「右肩上がりじゃないとダメでしょう!!」。案内板の前で立ち止まって、張り位置を“訂正”。たとえささいなことだとしても、仲間の運気上昇を願う。

 この日果たした大仕事は、猛虎の士気を確実に高めた。「まだまだチャンスはあると思いますし、目の前の一戦を取っていくことしかできないですけど、いい流れで最終盤に入ってるんで、このままみんなで行きたいと思います」。右肩上がりの勢いで、奇跡の連覇へチーム一丸となる。

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