「ＤｅＮＡ５－６阪神」（２１日、横浜スタジアム）

　横浜の地で偉大な金字塔を打ち立てた。阪神・近本がプロ６年目の通算安打数を９２７本とし、巨人・長嶋茂雄を超えて歴代最多となった。２０日に肩を並べ、一気に抜き去った。「超えられたということは事実。また一つ一つ積み上げていくだけ。しっかり頑張りたい」と冷静に振り返った。

　０－０の三回、先頭で打席に立つとカウント２－１から浜口が投じた外角低めのスライダーを捉え、中前にはじき返した。「何とか塁に出ることができてよかった」と口火を切ると、２死三塁から大山の左前適時打で先制のホームを踏んだ。

　好調が続いていた８月下旬だった。「長嶋さんまであと何本ですか」と自ら口にしたことがあった。“ミスター”の年度別成績を見ながら「こんなに何回も３割を打ってるんですね」と驚きを隠さなかった。時代が変わり、野球が変わっても、偉大な先人への敬意はいつも胸にしまっていた。

　数字の“呪縛”から解放されたが、やるべき事は同じだ。「この打席でどうやってヒットを打つかというのは変わらない。ただ、それ以外の時間で考えることは減ったかな」と近本らしい感想を口にした。

　今季の安打数は１５４本となり、最多安打のタイトル争いでもトップを快走する。２２日から甲子園に帰り、巨人との運命の２連戦を迎える。「相手がＤｅＮＡでも巨人でも関係ない」。逆転連覇を期待する周囲の声は高まるが、近本はいつもと変わらない。