阪神・秋山 涙のラストゲーム「この15年間、誇らしく思っています」 岩崎、高橋、桐敷ら1軍メンバーも駆けつけた

 「ウエスタン、阪神7-8ソフトバンク」(24日、鳴尾浜球場)

 今季限りで現役を引退する阪神・秋山拓巳投手(33)が24日、ウエスタン・ソフトバンク戦(鳴尾浜)で現役最後の登板に臨み、試合後にはセレモニーが行われた。家族も見守った感謝のスピーチでは感極まって声を詰まらせ涙。自身のプロ人生を「捲土(けんど)重来」と表現して、「はい上がる事もできたシーズンも何度かあったので、すごくこの15年間、誇らしく思ってます」と現役にピリオドを打った。

 ラストマウンドでプロとしての責務を気丈に完遂した秋山は、ベンチに向かう途中で感情を抑えきれなくなった。「もう、終わっちゃうんやな…。やっぱりみんなと野球できなくなるのが、すごく寂しいっていうのが一番です」。同い年の岩貞から花束を渡され、チームメートに迎えられると、みるみるうちに瞳から涙があふれ出た。満席のスタンドからは「お疲れさま」とねぎらいの言葉が飛んだ。

 ポリシーを貫いた。痛みに苦しめられてきた右膝に負担がかかっても、ワインドアップで打者と対峙(たいじ)。初回2死三塁、リチャードに外角への136キロ直球を左中間へ2ラン被弾したが、心は晴れやかだった。「一番頑張って来た外角低めの真っすぐ。気持ち良く打たれましたけど、全く後悔はないし、いい形で締めくくることができたかな」。先発で1回2失点が最後の仕事となった。

 試合後のセレモニーでは両チームがベンチ前で整列。出場していた原口に加えて、岩崎、高橋、桐敷ら1軍メンバーも駆けつけた。マウンド前方に設置されたスタンドマイクを通じて、「辛い思いがほとんどで、良い思い出は少ないですが、15年間本当に楽しく、一度も諦めることなく、現役生活を送ることができました」と去りゆく胸中を伝えた。

 鳴尾浜で後輩を厳しく叱咤(しった)激励した日々も回想。「やっぱりファームで頑張ってても仕方ないので、1軍でこういう優勝争いをしている中で活躍している姿を見せてほしいですし、僕自身これからはいちファンとして全力で応援したい」。連覇へ向けてペナント最終盤を戦う仲間を脳裏に浮かべつつ、若虎に未来を託した。スピーチを終えると胴上げされて、笑顔で3度宙に舞った。

 阪神一筋の右腕に対して球団は、コーチ要請はしないとみられるが、何かしらのポストを用意する方針だ。ユニホームを脱いだとしても、猛虎との絆は変わらない。「人間として成長できるようにいろんな角度のことを勉強していって、また阪神タイガースに還元できるように頑張っていきたい」。希望に満ちた“第2の人生”を啓示するような、まぶしい西日に照らされながら、背番号21は静かに鳴尾浜のグラウンドを後にした。

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