岡田監督去就は阪神に一任 阪急阪神HD・角会長明かす 2年前“特例”で自ら招へい 「仮に新体制になっても」イズム継承
「ヤクルト7-2阪神」(28日、神宮球場)
阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫会長(75)が28日、デイリースポーツの単独取材に応じた。2年前に自らが招聘(しょうへい)に携わり、契約最終年を迎えている岡田彰布監督(66)の去就について、阪神サイドに判断を一任していることを明かした。昨季日本一に導いた手腕や理論を高評価。この日、巨人の優勝が決まって球団史上初の連覇は逃したが、常勝チーム構築へ向けて“岡田イズムの継承”をする必要性も激白した。
温和な表情で紡ぐ言葉は、随所に強豪猛虎への愛があふれた。角会長がまず触れたのは22年オフ、第2次岡田政権誕生について。自らが動いた岡田監督の復帰への経緯を、赤裸々に回想した。
06年10月のHD発足時から「私がタイガースのトップ人事に口を出すというのは、基本的にしないということで来ていました」と話し、「2年前だけは当時、阪神電鉄や球団が考えていた別の人事では、優勝を争うチームになるのは無理じゃないかなということで、ちょっとイレギュラーで私がお願いをした形になるんですね」と明かした。
“特例”だったと認めて「今はもう本来の前の形に戻っている」とした上で、監督人事は「基本的には阪神電鉄と球団が決めていただく」と強調。「われわれ(阪急側)は最後、目として(阪急出身の)杉山オーナーがいるわけだから。彼はバランス感覚もありますし、見てくれているんじゃないかな。われわれは引いた形を作っているので」と説明した。
今季も最後まで激しい優勝争いを演じたとあって、岡田監督の手腕を「立派なものですよね。お願いしたかいがあったなと。期待通りの采配というか、野球理論というか、チームの運営のやり方とか、非常にいい」と絶賛。「少なくともこの2年間で礎は作ってもらった」と常勝軍団への成長を喜んだ。
岡田監督の去就については「今年のオフにどういう結論が出るか別として」と前置きした上で、猛虎の“近未来”にも言及。今季か来季以降か、岡田監督の後任となりえる人材については、「外部から持ってくることは100%ないわけですよね。そうなるとタイガースのOB。控えてる人間、3人くらいいるんですかね」と踏み込んだ発言。レジェンドの藤川球児氏や鳥谷敬氏らを思い描いていた可能性もある。
「(新監督に)来シーズンから渡すのか。あるいはその3人の中から1人に絞って、もう1年、岡田さんに指導してもらった方がいいのか。それはもう阪神の判断」と岡田監督の契約延長と、それに伴う英才教育も選択肢に挙げた。
最後には「仮に今年のシーズンが終わって新体制になったとしても、岡田さんのお力は何らかの形でタイガースとしてはお借りしてやった方がいいと思います」。“岡田イズム”の継承。それが猛虎が勝ち続けるために、総帥が導き出した必須条件だった。