阪神・岡田監督「2年間の集大成」有終の美誓い 「できんかったら負けるだけや」普通の岡田野球でまずはベイ倒や
阪神の岡田彰布監督(66)が7日、甲子園で退任発表後、初めて取材に応じ「別に何もないよ」などと現在の心境を語った。DeNAと対戦するクライマックスシリーズ(CS)ファーストS(12日開幕、甲子園)に向けては「2年間の集大成やんか。最後のゲームのな」と有終の美へ決意をにじませた。
自身の去就について閉ざしていた口を開いた。岡田監督が5日ぶりに取材対応。レギュラーシーズン最終戦の3日に今季限りでの退任が報じられて以降、無言を貫いていた虎将が、ついに自らの言葉で語った。
「いやあ、別に何にもないよ、そんな」
穏やかな口調で淡々と言葉を紡いだが、その表情には寂しさがにじんでいるようにも見えた。
2日間のオフが明け、全体練習が再開された6日の練習前に選手、コーチ、スタッフらを集めてユニホームを脱ぐことを伝えた。「(最終戦が行われた)横浜で言おうと思ったけど、選手も(全員)いてなかったからな。居残り(の選手)がおったしな。全員集まるのは昨日(6日)しかなかったから」。沈黙を続けていたのはチームへの配慮だったと明かした。
周囲の喧噪(けんそう)をよそに、岡田監督の視線はDeNAと争うCSに向けられていた。
「そら、DeNA言うても1年間やってきた相手やからな。別にいまさらいう感じやで。その日のゲームを勝っていくだけよ」
目の前の1勝を積み重ねていけば、おのずとDeNAを撃破し、宿敵・巨人との対戦を迎える。その先には2年連続日本一の偉業が待ち受ける。
気負いは一切必要ない。選手には就任以降、何度も繰り返した「普通の野球」を遂行するようにあらためて求めた。
「もうプレーボールかかったら、みんなやること分かってるやん。『こうせえ』とか、そんなこと一切ないよ。できんかったら負けるだけや」
この日はグラウンドに姿を現す前にブルペン視察へ直行するなど投手陣の整備に余念がない。その後はシート打撃に鋭い視線を送った。
「2年間のな、集大成やんか。最後のゲームのな」
監督生活の締めくくりをかみしめるように「最後」という言葉を口にした。
08年、第1次政権最後の試合は1勝1敗で迎えた中日とのCSファーストステージ第3戦。敗戦投手となったのは、くしくも後任監督が決定的となっている藤川球児だった。涙に暮れた10月から16年。今度は笑って終わる。岡田阪神が最後の戦いに挑む。
◆岡田阪神のCS甲子園開催 岡田政権のCS甲子園開催は2023年のファイナルSの1度で広島を相手に3連勝を飾った。また、阪神がファーストSからファイナルSまで突破を果たしたのはシーズン2位だった14年。この年は広島とのファーストSを1勝1分け、巨人とのファイナルSを4連勝と計5勝1分けの無敗でCS突破を実現させた。