阪神・藤川新監督 岡田前監督から学んだ「普通にやったらええ。これがリーダーの仕事」 決断理由は「自然なのかな」 記者会見(上)

 会見を行う藤川監督
 明るい表情で会見に臨む藤川監督
 会見後、囲み取材を受ける藤川監督(撮影・中田匡峻)
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 阪神の新監督に就任した藤川球児氏(44)が15日、大阪市内で記者会見を開き、「普通にやったらええ」岡田前監督の言葉を胸に〝岡田イズム〟の継承を誓った。以下、記者会見(上)

  ◇  ◇

 -今の心境は。

 「オーナーの方からも言われましたけど、このチームにはビジョンがあって、幾数年にもそれがつながってきている。その中で岡田監督が指揮を執られた、この2年間は非常に強く、チームも成熟してきたのは自分も見てきて。僕もチームの中から外から両方で見てきたところがあったので、その流れになったのかなと。自分自身は全くわからなかったですけれど、愚直に真っすぐに仕事をしてる中で、そういうものが見えてきたというところでお受けしましたね」

 -決断した理由。

 「理由ですか?特にないです。自然なのかなと。やっぱり僕はタイガースに18歳で入って、アメリカも行ったり、それから自分で選択して独立リーグに行ったりとかしてる中で自分の下す決断というのに少しずつ自信を持てることができて。どんな道を選んでも、自分の中で正解にできるんじゃないかというところが、ここまでの自分の自信にもつながってるんです。なので、うまくいかないことがあると周りは言うかもしれないですけど、僕はどちらにしても大丈夫だと思ってます。それは自分の決断に間違いはないと思います」

 -恩師の岡田監督から引き継ぐ思いは。

 「それも全て必然であって。阪神タイガースは来年90周年を迎える、この流れ、そして僕と岡田監督の、僕が1年目の時に岡田監督が2軍監督1年目ということで、全ての流れがたまたまかもしれないですけど、それを自分の中でひも解いていくわけですね、人間なんでね。その中でどう受け取ろうかなとするよりも、これが自然なのか不自然なのかというところを考えた上で、何も不自然なことがないというところで、これも運命なのかなと。従えばいいっていう感じですね」

 -岡田監督から学んだことで大切にしてること、これから監督として大切にしたいことは。

 「選手の間だったり、球団のスペシャルアシスタントとしてチームをサポートする側でいる時、それから外でニュースを読んだり、解説してる時には気づかなかったですけど、この場に立って、この会見とともに監督というものがスタートするんですけど、やっぱり『普通にやったらええ』。これに尽きると思います。これがリーダーの仕事かなと思いますね」

 -背番号について。

 「正直、岡田監督からもらっていなかった番号であれば、全くこだわりはなかったです。ただ、僕自身が30番で入団して、それから22番。アメリカで11番、それから21番、それから高知ファイティングドッグスで11番、阪神タイガースに戻って18番、たくさんの番号をつけてきましたけど、阪神タイガースでプレーしていく中で、結果が良かったこと、それから皆さんの印象に残っていること、全て含めて考えたところ、番号も空いてますし、これはもう全てが流れのことなんで。逆にそこにあらがうことの方がおかしいんじゃないかということでは、何もおかしいことじゃないなと。僕は背中が見えないんで、いつも何番でもいいと言うんですけど。皆さんから見た時に、今後は選手から見た時の印象がありますから。そういった部分でもオーナーがおっしゃられた通り、距離感というところではもしかしたら近く見えるかもしれないということでは、いいかもしれないですね」

 -理想のチーム、理想の野球は。

 「あまり本当は言いたくないんですけど。戦う前に言うのも、なかなか。チャンピオンチームであった昨年であれば思うんでしょうけれど。僕はどちらかと言うと、新たに就任する監督であって、コーチ陣の方たちともまだ来年に向けてビジョンを組んでないわけですね。その段階でメッセージとして、固まってしまった意見を述べるというのは正直、控えたいかなと。皆さんが持ってる岡田監督と戦ってきたコーチたち、選手たちが持ってる野球観というのはすごく大事なので。僕としては前回、岡田監督が監督をされました2008年までの時、その後の2009年以降の野球っていうのが自分の中で覚えていまして。野球のベースが移り変っていった記憶があって、そこで選手たちが岡田監督という強烈な素晴らしいリーダーシップを持った監督の野球から、僕自身そうですけど、簡単にパッと変化できなかったというのがあって。なので、いかに流れの中で、いわゆるチャンピオンチームで巨人の阿部監督を倒していったりとか、他球団と勝負していかなきゃいけないという意味では時間があるようでないので。そこは意思の疎通を図ってから、決断を下したいと思いますけど」

 -今のチームをどう捉えているか。

 「前年度、日本一。それから、今シーズンのクライマックスシリーズで2位まで、最後に強烈な追い上げ。僕は岡田監督とたくさんプレーしてきたんで、監督力です、はっきり言えば。選手たちは素晴らしく脂が乗ってきてるとは思います。ただ、僕も岡田監督とともに戦ってきて、岡田監督というのは駒が変わっても同じような順位に持ってくるだけの力がありました。なので、僕も頑張ります。だけれども、僕が来たことで例えばチームが下がってしまうことがあれば、選手たちにも力がないとなりますから。僕は2009年以降、必死でチームを支えたというのもありますから。そういう部分で選手たちの本気度と、現状維持でいるように周りから見えてる選手というのは危機感を持って臨んでもらいたいなと思います」

 -チームの強みは。

 「ファンの方々が思っている、メディアの皆さんも同じかもしれないですけど、3点ほど取ったら、ゲームをきっちり終わらせてくれるというような安定の野球ですよね。僕もそこは一番ベースになります。面白みがある野球ではなくて、スルッと気づけばゲームが終わってるというのが、それが狙いですけど。そういうゲームって後ろからいくピッチャー、リリーバーたちも出やすいんですよね。ゲームの流れのよどみとか、そういうのを作らないようなゲーム展開をしたいというのがあります。あとは選手たち、コーチたちがかなり呼吸が早くなる、岡田監督がたくさん引っ張ってきたと思うんで、選手たちとかコーチたちが常に忙しく呼吸してるような、この秋、それから春、開幕まではそういう時間にしたいかなと思いますけどね」

 -強化したいことは。

 「うーん。非常に難しいですけど、ベテランと言われる選手。僕もベテランの時期を過ごしました。その中で僕たちが現役として優勝はしました。勝てば勝つほど、プレッシャーは高くなり、求められる責任感というものが大きくなります。その中でどんな選手がそれを少しでも、監督コーチじゃない立場から、その気持ちを受け流して、こういう時はこうするんだよというような、プレーヤーの中での気持ちの安らぎというか、力が必要です。もちろん、選手にも力が必要ですけど、ベテランの選手にはただ空気がいいだけの選手は必要ないんで。力もあって、周りの意見もくみかわしながら、橋渡しとは言わないですけど、うまくファンとか、選手から見た首脳陣とか、全てを取り囲むというところの、そういう選手がいないし、欲しいし。またなってもらいたいと思うし。ただ、必要なのは力です。力が必要なのは間違いないです。プレーヤー個人の力がなくてベテランというのは必要ないなと思います」

 ※(中)に続く

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