阪神・藤川監督の助言で伊藤将が一変 「春と全然違う」フォーム修正で直球威力戻った 来季復活に太鼓判
「阪神秋季練習」(28日、甲子園球場)
阪神・藤川球児新監督(44)が28日、甲子園での秋季練習でブルペンをチェックし、伊藤将司投手(28)の復活に太鼓判を押した。今季わずか4勝に終わった左腕に助言を送り、復調を後押し。伊藤将も低めに集まったボールに手応えをつかみ、秋季キャンプ中の実戦登板に意欲を示した。来季はプロ5年目。ドラフト1位指名の伊原陵人投手(24)=NTT西日本=も加わるローテ争いを勝ち抜き、先発の座を取り戻す。
復活にかける熱い思いがヒシヒシと伝わってきた。伊藤将の投球をブルペンで見守った藤川監督は角度を取り戻したボールにほれぼれ。巻き返しに燃える姿を見て、来季の飛躍に太鼓判を押した。
「すごく状態がいい。鍛えながら自分の課題に取り組んでいるのがよく見えた。今年の春の状態を覚えていたんで全然違いますね。来年は活躍するんじゃないですかね」
今季の伊藤将はボールが高く、本来の制球力も影を潜めた。持ち味であるクロスファイヤーの球も抜けてしまう。指揮官が放送席で感じていたという修正点を直接伝え、左腕の背中を押した。
「左肩が上がらずに、そのまま上に投げている感じだったので、そこを言ってもらいました」。ブルペンで約40球投げた伊藤将は納得顔。「今日はしっかり低めに投げられていたので、藤川監督も『状態は悪くなさそうだね』と言ってくれた」。上から叩くイメージがよみがえり、手応えは上々だ。
プロ3年目までローテの一角として通算29勝を挙げながら、今季はわずか4勝どまり。開幕から不安定な投球が続き、夏場以降は2軍暮らしが長かった。もう一度はい上がるため、藤川監督が挙げたのは「危機感」だ。
「それが長く活躍する秘けつなので。危機感という表現がいいのか、僕はいつも現状維持は衰退というんですけど、それをいかに選手が持っているかということになる」
来季も先発争いはし烈だ。才木、高橋の左右の両輪にビーズリー、大竹、村上、西勇が続く。青柳、及川、門別と名前はスラスラ挙がる。さらにドラフトでは即戦力左腕のNTT西日本・伊原を1位指名。競争は一段と激しくなる中、伊藤将は「自分のことだけやっとけばいい。ストレートがしっかり投げられれば、変化球も良くなるので、まずストレートを意識してやりたい」。秋季キャンプ中の実戦登板に意欲を示すなど、自身のレベルアップに目を向ける。
就任1年目からリーグ優勝を目指す藤川監督の期待は大きい。「彼はたたき上げで頑張ってきた選手。1年うまくいかなかったくらいでへこたれる必要はない」。実績十分の左腕はV奪回に欠かせない存在だ。“球児流”アプローチで完全復活を後押ししていく。