阪神OB弘田澄男氏 藤川監督にエール 四国ILp・高知時代の監督「この経験は監督で生きる」

 阪神の藤川球児監督(44)がメジャーを経て四国ILp・高知ファイティングドッグスに選手として在籍した2015年に、チームの監督を務めていた阪神OBの弘田澄男氏(75)が同郷の後輩に温かいエールを送った。

  ◇  ◇

 「母校は高知高(弘田氏)と高知商(藤川監督)でライバル校だけど、同じ高知県出身。WBCでも、高知ファイティングドッグスでも一緒にやった仲間。ぜひ、頑張ってほしいね」

 2006年の第1回WBCでコーチと選手として世界一を勝ち取ってから9年。メジャーを経て帰国した藤川監督をチームに迎えた時のことを弘田氏は振り返る。

 「練習内容は全部、彼に任せていた。コンディションを整えて投げたい時に投げてもらうというやり方だった」。メジャー帰りの大物新人は“別格”の存在。登板1試合ごとに契約を結び、年俸はなしという異例の形での入団だった。

 印象的な出来事として挙げたのは、登板前の入念な準備。「対戦相手の主力の特徴を確認しに来たことがあり、研究熱心さに驚いた。そんな細やかさがあるから頑張れるんだと感じた」

 6月に入団し、オープン戦3試合、公式戦6試合に登板して9月に退団。翌年からは阪神に復帰しており、チームに在籍したのは約3カ月という短期間だったが、弘田氏は意義を力説する。

 「観客の数はNPBとは比べものにならないし、選手たちの給料だって安い。そんな環境でプロ野球を目指して真剣に野球をやっている選手たちと一緒にプレーしたことは、藤川にとって財産になったと思うし、一緒にやった選手たちにとっても財産。この経験は監督をする上で生きるんじゃないかな」

 2020年に現役を引退した際、「長い間、よく頑張ったね。おつかれさんでした」とメールを送るとすぐに返信があったという。「『高知では好きにやらせてくださって、ありがとうございました』って書いてあったね」と懐かしんだ弘田氏。「コーチ経験がなくても、金田正一さんみたいに日本一になった投手出身の監督はいる。コーチ、選手とコミュニケーションを多く取って一つでも多く勝ってほしいね」。かつてロッテを日本一に導いた往年の大投手の名前を出して、後輩の背中を押した。

 ◆弘田澄男(ひろた・すみお)1949年5月13日生まれ。高知県出身。高知高を経て四国銀行から72年にドラフト3位でロッテ入りし、俊足巧打の外野手として活躍。74年の日本シリーズMVP。84年に阪神に移籍し、85年のリーグ優勝と日本一に貢献した。引退後は阪神、横浜、巨人で外野手走塁コーチなどを歴任。2014、15年に高知ファイティングドッグス監督を務めた。

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