阪神・佐藤輝 ランチ特打9本中8発 中堅から左方向へ 増えた外角攻め“浜風打法”で攻略だ
「阪神秋季キャンプ」(11日、安芸)
豪快なアーチで球場内をどよめかせた。阪神・佐藤輝明内野手(25)が、ランチ特打とフリー打撃でバックスクリーンを越える一発を放った。どちらもラストスイングで、これまでの攻められ方などから「センター方向への意識」を徹底。“浜風打法”の強化を図った。第2クール終了日に充実の表情を浮かべた主砲が、来季へ期待が膨らむ姿を披露した。
快晴の空に快音を鳴らし続けた。虎党を魅了する佐藤輝の豪快な一発に、スタンドからは大きな拍手とどよめきが起こる。次々と左中間へ飛んでいく打球に視線が集まった。
「しっかりセンター方向を意識して」と始まったランチ特打。47スイング中9本が柵を越え、そのうち8本が中堅から左方向へのアーチ。バックスクリーンに2連続で直撃し、最後はバックスクリーンのど真ん中を鮮やかに越えた。
それだけでは終わらなかった。午後から行われたフリー打撃は「ちょっと今日は疲れてましたけど」と本音を漏らしたが、44スイングのうち、またもバックスクリーンに直撃する2発を披露。さらにラストのフルスイングで、ぐんぐん伸びた打球がバックスクリーンの左端を越えた。飛びゆく打球に疲れはみじんも感じられなかった。
意図をくんだ打球に充実の表情を見せた。センターを狙い、結果的に左中間への打球となる-。柵越えとはいかなかった打球も、ほとんどが中堅から左中間へと運ばれた。「練習ではこだわっています」。今キャンプで特に強い意識を持って取り組んでいたことが結果として表れている。
昨季は内角攻めもあって右翼方向への本塁打が約70%。中堅には約25%と左翼方向には10%にも満たなかった。内角に対応しつつある主砲に、今季は外角に攻められることも増えた。「内だけじゃ、引っ張るだけじゃ(ダメ)」。今季は左翼方向へ25%、中堅に約6%と左方向への本塁打は増えたものの、まだ満足はしていない。
「もう一回逆方向に強い当たり」と“浜風打法”を強化する。右翼から左翼方向に浜風が吹く甲子園では、さらに風に乗って打球が伸びるだけに楽しみは広がる。16本塁打に終わった今季からパワーアップした姿で来季に臨む意気込みだ。
「いいスイングができてると思います」と佐藤輝。来季へ最終クールも追い込みをかけ、進化の秋を過ごす。