阪神・大山 流出危機 FA表明でTG争奪戦へ 一野球人として「他球団の評価聞きたい」
阪神の大山悠輔内野手(29)が13日、西宮市内で取材に応じ、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権の行使を表明した。悩み抜いた末に、「他球団からの評価を聞きたい」と決断。残留も選択肢に入れるが、今後は野球人として最も必要とする球団を探す。巨人が獲得に乗り出す構えで、争奪戦が予想される。14日にFA宣言選手として公示され、15日から全ての球団との交渉が可能となる。
悩みに悩み、一野球人としてたどり着いた結論だ。「8年間やってきて今、自分が他球団の方からどういうふうに思ってもらえているのか」。慣れ親しんだタテジマを脱ぐことになっても、野球選手としての現在地を知りたい。大山がFA権行使を表明した。
「すごく悩みました。毎日毎日どうしたらいいのか。本当に悩みましたけど。他球団の評価を聞くことができるチャンスだと思うので。そこを聞いた上でしっかり決めたい」
球団事務所で権利行使の書類を提出し、FA権行使の締め切り最終日に発表した。「これは僕だけの問題ではないので、家族としっかり話し合って決めました」と、真っすぐ前だけを見つめて強い決意を口にした主砲。残留も選択肢に入れながら、自身を最も必要としてくれる球団を模索する。
白鷗大から16年度ドラフト1位で阪神に入団。昨季は「4番・一塁」として日本シリーズまでの公式戦全153試合に先発出場し、38年ぶりとなる日本一に貢献した。また、自身初の打撃タイトルとなる最高出塁率に加え、ベストナイン、ゴールデングラブ賞も初受賞。チームの中心選手として欠かせない存在にまで成長した。
球団は宣言残留を容認しており、来季も必要戦力と説明され、強く残留要請を受けている。「やっぱり『残ってほしい』という言葉もいただきましたし。その思い、気持ちも伝わってきました。本当に感謝しています。でも、個人として評価を聞いた上でしっかり悩んで決断したいという気持ちがあった」と残留か他球団移籍かはフラットな状態で熟考する考えだ。
今後は、14日にFA宣言選手として公示され、15日から他球団との交渉が可能。今季の推定年俸2億8000万円はチーム上位3人に入るAランクで、獲得には金銭補償か人的補償+金銭補償が必要となる。既に巨人が強い関心を示しているが、決断を急ぐ気持ちはない。「期限というよりも、しっかり納得した決断がしたい。自分が納得できればと思うので、(決断が)どのタイミングになるのかは分からない」と大山。阪神への愛着は一時封印し、プロ野球選手として輝ける場所を探す。