阪神 大山残留願い虎党熱きコール「ありがたい?もちろんです」ファン感異例の出席 聖地3万8500人の思い受け止めた
国内フリーエージェント(FA)権を行使した阪神・大山悠輔内野手(29)が23日、甲子園で行われた「ファン感謝デー」に出席し、FA宣言後初のイベント登場となった。球団のFA宣言中の選手による、同イベント出席は極めて異例。ファンの「大山コール」が聖地を包み、「ありがたい?もちろんです」と心を打たれた様子だった。
約3時間半に及んだファン感のフィナーレ、選手によるグラウンド一周が終わると、甲子園の空に虎党3万8500人の“祈りの声”が響いた。「大山、大山、大山!!」-。タテジマのユニホームに身を包んだ猛虎の4番の耳にも、「最後にコールが起きた?はい、そうですね」ときっちり届いていた。
長いペナントレースを戦い終えて、1年間の熱い応援への恩返しを体現するための特別な一日。オープニングで大山の名前がアナウンスされて登場すると、360度黄色く染まったスタンドから、一段と大きな歓声が湧き上がった。「ドッジボールバトルロイヤル」には同じくFA宣言中の原口とともに、「中野チーム」の一員として参加。楽しそうに白い歯をこぼしつつ、いつもとは違う球技に興じた。
テレビ朝日・ABC系の人気番組「相席食堂」とコラボした目玉企画「阪神タイガースVS相席食堂オールスターズ」の野球対決では、『4番・一塁』でスタメン出場。バラエティー色の濃い一戦でも、定位置を譲ることなくファンを沸かせた。2打席に立って左翼失策と一飛で、Hランプをともすことはなかったが、それもご愛嬌(あいきょう)。真剣勝負とは程遠い雰囲気の中ではあったが、阪神の選手としてプレーする姿を大観衆に届けた。
募る思いを伝えるための、“異例の出席”だった。球団では過去に、11月恒例のファン感にはFA宣言中の選手は参加を見送るケースが多かった。それでも大山は21日の球団行事「タイガース杯ゴルフ」のラウンド後に、「感謝の気持ちをまず伝えたい」として参加を表明。有言実行で冬間近の寒さが身に染みるグラウンドに姿を見せて、虎党と視線を交わした。
チームメート、阪神ファンと笑顔を共有した有意義な時間。「はい、楽しかったです。良かったです」と背番号3は率直な感想を残した。聖地を包んだ「大山コール」に、何を思うのか-。巨人からのラブコールも送られる中、去就決断に影響を及ぼすか否かは、本人のみが知るところだ。