【阪神ドラフト選手特集・今朝丸裕喜(中)】中学時代に見せた非凡な才能 制球力「今までで一番精度が高かった」恩師明かす
阪神ドラフト指名9選手(1~5位・育成1~4位)の連載をお届けする。ドラフト2位の今朝丸裕喜投手(18)=報徳学園=は中学時代にメンタルトレーニングに出会い、精神面も変化。スキルに加え心も磨き上げていった。
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裕喜は地元の横屋川井少年野球を経て、中学では関メディベースボール学院に入学した。ここで野球の技術だけでなく、精神面や考え方を学ぶことになる。父の裕さんは「中学校のチームが野球への意識付けをしてくれた」と証言。同チームの井戸伸年監督(47)が裕喜への指導を明かした。
第一印象は「パッと出てこない」と苦笑。集合をかけても、後ろに立って陰に隠れたタイプだった。「身長もそこまで高くなかったし、体も細かったんで」。そんな裕喜を変えたのがメンタルトレーニングだった。
「今、インタビューを聞いていてもプラスの言葉が多いですよね。思考力が高まっているのが一番だと思います。言葉と行動というのはつながっていく。目標と目的が明確になっていますよね」
幼少期からプロ野球選手という目標を口にしてきたわけではない。中学でも明確な夢を語るわけではなかった。性格はプロ向き。だからこそ、技術だけではなく、中身から磨き上げられた。
当然、投手としてのスキルも抜群だった。井戸監督は中学生だけではなく、大学生や社会人も指導。過去には元阪神の横山雄哉や石崎剛の指導にも携わった。何百、何千と教え子がいる中で「今までで一番精度が高かった」というのが制球力。「彼の生まれ持ったものがある」と天性と努力の結晶だった。
普段は「ほわっとしている」。でも、いざマウンドに上がると人が変わった。「イケイケになっちゃうんですよね。感情をむき出しにはしないですけど、負けず嫌いとか見えるものはありますよね」。投手特有の性格。チームが苦戦する相手投手から「9番でいきなりポンッと打ったりする」のも裕喜だった。
中学2年時は130キロに満たなかった球速が3年時には140キロを超えた。卒業時には「プロに行ける。これはあるよ」と親御さんや報徳学園の大角健二監督(44)に宣言。「言ってて良かった」と現実となった。そして、井戸監督がさらなる高みを目指してほしいと願う。
「地元に愛され、日本全国、そして海外へ。彼は海外の夢を持ってないですけど、挑戦したいなと思える選手になってほしい」
阪神から世界へ。これだけ期待するのも潜在能力の高さを間近で見てきたからだ。裕喜は中学で心身ともに成長し、兵庫の名門・報徳学園の門をたたく。
◇今朝丸 裕喜(けさまる・ゆうき)2006年6月2日生まれ、18歳。神戸市出身。187センチ、77キロ。右投げ右打ち。投手。報徳学園から24年度ドラフトで阪神から2位指名。報徳学園では1年秋からメンバー入り。2年春から2年連続センバツ準Vを経験。趣味は寝ること、音楽を聴くこと。好きな食べ物はラーメン。直球の最速は151キロ。