【阪神ドラフト選手特集・今朝丸裕喜(下)】大阪桐蔭戦の負けが成長の転機に 元阪神でコーチの葛城氏が期待する伸びしろ

 指名あいさつを受け、球団旗を広げる今朝丸=10月
 2年時のセンバツ準決勝で最後を抑えた今朝丸=2023年3月31日
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 阪神ドラフト指名9選手(1~5位・育成1~4位)の連載をお届けする。ドラフト2位の今朝丸裕喜投手(18)は地元・兵庫の報徳学園に進学。大阪桐蔭戦で敗れことで大きな転機を迎えた-。

  ◇  ◇

 自宅から通えるということもあり、裕喜は地元・兵庫の報徳学園に進学した。入学時から格別に目立っていたわけではない。1年時には打撃投手を任されると、簡単に打たれることもあった。マイペースな性格だけに、下級生の間は先輩についていくタイプ。変化したのは最上級生になってからだった。

 2年時のセンバツ決勝は同学年の間木が先発。夏は自分が打たれて、先輩たちは引退となった。同校のコーチで元阪神の葛城育郎氏(47)が証言する。「自分でやらないといけないって思ったんじゃないかな」。さらに大きな転機があった。

 23年10月28日、近畿大会の準々決勝・大阪桐蔭戦。裕喜は先発で七回途中4失点とつかまった。「力負けだったから。そこからじゃないかな」。課題が明確になったことで次の練習から明らかに変化が見えた。

 「もう1回やり返すって気持ちもあっただろうし、そこからグッと体重が増えた。負けたことの悔しさがあったのかな。自分がしないといけないことがわかったんだと思う」

 裕喜も体重が増えたことで球速アップにつながったと実感。高校1年時には130キロ後半だったが、最速151キロまで成長した。ただ、葛城氏も阪神やオリックスで活躍したプロアスリート。練習ではブルペンの打席に立つこともあるが、“親心”からあえて厳しい言葉を送った。

 「打てるなと思う」

 引退してから時間はたち、本当に打てるかはわからない。それでも、プロで培った目は正直だった。「ベストボールが来た時はそこそこいい。でも、プロに比べたらね。これから毎日、野球する世界になったら変わってくることだから」。ここからが勝負。葛城氏は知っているからこそ、伸びしろに期待した。

 阪神には才木という手本がいる。「才木みたいに真っすぐとフォークでいけるようなイメージになってくれたらいい」。葛城氏が思う長所は指先の強さ。「他の投手にはなかった。体の使い方さえ覚えればもっと良くなる」。そして、将来の活躍を願った。

 「勝利数もやけど、常に150キロ以上投げるとか、そういう投手になってほしい」

 2年は土台作り。3年目に頭角を現してほしいと願う。体は強い。来年からはファームの新施設も誕生する。裕喜が多くの期待を背に受け、タテジマのユニホームでも輝きを放つ。(今西大翔)

 ◇今朝丸 裕喜(けさまる・ゆうき)2006年6月2日生まれ、18歳。神戸市出身。187センチ、77キロ。右投げ右打ち。投手。報徳学園から24年度ドラフトで阪神から2位指名。報徳学園では1年秋からメンバー入り。2年春から2年連続センバツ準Vを経験。趣味は寝ること、音楽を聴くこと。好きな食べ物はラーメン。直球の最速は151キロ。

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