阪神・山田 試行錯誤した先に見えた打撃改善のカギとは 6月からの“答え合わせ”
阪神・山田脩也内野手(19)は今季、2軍で102試合に出場し打率・217、0本塁打、13打点の成績だった。打撃面での課題と向き合った一年となった中、9月末から取り組んだのが“大山打法”だ。自身の持ち味を生かしつつ、大山の打撃フォームの要素を取り入れると、フェニックス・リーグや秋季キャンプで、藤川監督らから成長を評価された。試行錯誤の末にたどり着いた、高卒1年目の打撃の進化に迫る。
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手首を柔らかく使い、スナップを効かせた打ち方が、山田の特徴だ。シーズン序盤は上々のスタートを切り、4月30日時点で打率・253と好調を維持。ただ、繰り返し行った打撃の改善と疲労も相まって打率が低迷し、2割台を何とか維持している状態が続いた。
1年間試行錯誤した中で見えた打撃改善のカギは、6月にあった。打撃不振で2軍に降格した大山を、間近で見る機会に恵まれた。山田の打率が下降し始めたのも6月ごろ。ただこの時は、見るだけにとどまっていた。自身の中で何とか改善しようと、そこまでとは全く違う、手首を固めて打つ方法にシフトチェンジ。それでも、良くなる兆しは見えなかった。
シーズン最終戦となった9月27日からのくふうハヤテ3連戦(ちゅ~る)には帯同せず、鳴尾浜に残留。そこで、「山崎(前2軍打撃)コーチともう一回フォームと体の使い方を見直してみよう」とゼロからのスタートを決意。6月に見ていた大山の打ち方の“答え合わせ”を行った。
山田は「片足で球を待っている時、かかと重心で立っている」と大山の打ち方を分析。自身に取り入れ「かかとで真っすぐ立つ」という感覚をつかんだ。山崎2軍内野守備走塁コーチは「山田は手首が柔らかくて器用にできる。大山と同じタイプ」と山田にもハマると考え、“大山打法”を染み込ませた。
それまでは投手側に体が突っ込んでいた姿勢が、軸足のかかと重心の意識を持つことで真っすぐになる。さらに手首を柔らかく使う方法に戻すことで、自身のリズムを崩さず打つ事ができるようになり「打ちやすくなった」と手応えを示した。この打法を実戦で行い、躍動した姿を見せた。
フェニックス・リーグでは10月8日から20日まで8試合連続安打をマークする活躍。2軍監督を務めていた和田1・2軍打撃巡回コーディネーターから「バッティングの方で成長が見られる。思い切りながら捕まえることがちょっとできつつある」と称賛を受けた。
さらに秋季キャンプでは、3日間行われた紅白戦で計8打数2安打。凡退した打席も芯を捉えた中飛や左飛と存在感を発揮。藤川監督から「各コーチからの評価もすごく高い。チームとしては能力が高いだけにさらに育成をかけていくような選手」と評価された。
打てずに苦しんだ今シーズン。あまり好きでは無かったというが「今はバッティング好きです」と19歳らしい明るい笑顔を見せた。走攻守で進化を示し続ける、山田の成長から目が離せない。(デイリースポーツ・和泉玲香)