阪神で23年間トレーナー務めた小滝康樹さんが明かす秘話 藤川球児監督主催のゴルフコンペで粋な計らい

 阪神で23年間トレーナーを務めた小滝康樹さん(47)が、今季限りで退団した。在籍期間中は3度のリーグ優勝と1度の日本一を経験。藤川球児新監督(44)との秘話から、新たに鍼灸・接骨TIGRIS(ティグリス)を開院する思いを明かした。

 球団初のトレーナー新卒採用で、小滝さんは02年に阪神へ入団した。23年間の思い出を問われると「やっぱり去年、ハワイで優勝旅行に連れて行っていただいたことかな。思い残すことはない」と感慨深げに話した。

 ここ数年、独立の時機を考えていたそうで、今回もギリギリまで悩んでいた。ただ昨年、38年ぶりの日本一に輝いたこともあり、監督も交代するタイミングで離れる決断をした。そんな時に知った、藤川球児氏の新監督就任。現役時代から担当していただけに、「球児がやるんやったら一緒にやりたい気持ちもあったから」と、退団を切り出す申し訳なさもあった。

 就任決定の数日後、藤川新監督に「就任おめでとう。実はごめん。今年で退団することになって…」と打ち明けた。すると、藤川新監督に「え~うっそ~!?」と驚かれ、「明日、話をしよう」とだけ伝えられたという。

 当日、甲子園での会議後の藤川新監督が小滝さんの家まで車で迎えに行き、食事をする時間をつくってくれた。「球児は自分より3歳下なんだけど、昔から本当に裏方を大切にしてくれた選手。辞めるって言ってからもすごい良くしてくれたね」。藤川新監督の人柄を表すエピソードがある。

 高知県安芸市で行われた秋季キャンプの第1クール休日。藤川新監督が主催して、裏方主体のゴルフコンペが開かれた。賞品、賞金も当然、監督の自腹。実は、小滝さんは22位を取って監督賞を獲得し「周りからも狙ったやろ」と爆笑されたそうだが、その後に感激する瞬間があった。

 「今日は実は小滝杯でした!!」と藤川新監督から明かされ、花束を贈られた。粋な計らいに「あれはすごいうれしかった。返しきれないほどの恩というか、これからの仕事で返すしかないよね」と感謝の思いを胸に、新たな一歩を踏み出す。

 トレーナー時代の経験を生かし、鍼灸・接骨「TIGRIS(ティグリス)」を阪神西宮駅前で来年2月14日に開院予定だ。アスリートに限らず、一般の方も利用可能。今年まで42年間阪急、オリックスでトレーナーを務めた野間卓也さんもスポット的に、同院で施術を行う予定だという。

 「ウチに来院した時より、帰る時の方が良かったなと思ってもらえるというか。体だけじゃなく気持ち的にもホッとできる治療院にしたいなと思っています。精神的に疲れが出る時に、体と心が休まるようにね」

 開院という新たなチャレンジに「当然、不安は大きいよ」と話しつつ、「OBの方も行くよとか言ってくれたりしていて。本当にありがたい」と感謝する。阪神で培った経験、縁を忘れずに、第2の人生を歩み始める。(デイリースポーツ・関谷文哉)

 ◆小滝 康樹(こたき・やすき)1977年4月25日生まれ、47歳。大阪府和泉市出身。関西鍼灸短期大学(現関西医療大学)で鍼灸の資格取得。東北柔道専門学校(現仙台接骨医療専門学校)で柔道整復師の資格取得。02年にトレーナーとして阪神入団。来年、2月に鍼灸・接骨TIGRIS(ティグリス)阪神西宮駅前を開院予定。予約制。アスリートだけでなく一般の方も施術。開院情報はInstagram(@tigris2025)、Facebookにて更新予定。

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