“猛虎版ふるさと納税”でバックアップ 新2軍施設「ゼロカーボンベースボールパーク」建設キーマン直撃

 3月1日開業の新ファーム施設「ゼロカーボンベースボールパーク」の建設に携わるキーマンへの直撃インタビュー(不定期掲載)で、“シン・虎の穴”誕生への軌跡を追う。第3回は尼崎市 経済環境局 経済部 産業政策課の西岡努氏(41)が登場。尼崎市が実施している“猛虎版ふるさと納税”とも言うべき「阪神ファーム活性化基金」には、すでに市内外から1000万円の寄付が集まった。球団、尼崎市、ファンが三位一体で、若虎の成長をバックアップする。

  ◇  ◇

 -阪神の2軍施設を誘致した経緯は。

 「尼崎市はもの作りの町として産業が発展していきましたが、全国と同じく、だんだん人口減少も進む中で、交流人口の増加を目指し、大阪にインバウンド等が来ていることもあり、観光にも力を入れていかないといけないと考えました。2016年頃に、尼崎城の再建計画が決まっており、それ以外の取り組み等を検討している中で、阪神さんの2軍施設がだいぶ年数がたち、手狭とお聞きしたので、尼崎市内のどこかへ移転のお話をさせてもらいました。かつて尼崎市内に浜田球場があり、阪神電鉄さんとは沿線の活性化に向けて意見交換等をしていたこともありましたので」

 -阪神ファンを取り込みつつ、町の発展を目指す。

 「公式戦だけでも年間70試合くらいはありますし、それに3600席あって。それだけの人が来ることになるので、もちろんそれを起点にして、軟式野球場でタイガースによる子供たちのアカデミーをしたり、地域の方のマルシェ(出店)だったりを考えています。今後は高架下の有効活用などもありますし。一定の人数が来るので、事故が起きないように道路の改良も進めています。大物駅からSGLスタジアムに向かう途中にある緑道も改装していて、あそこをタイガースロードのような形で今後やっていきたいと思っています。駅からのメインの動線には、これから装飾もしていく予定です」

 -市として今後の取り組みで決まっていることは。

 「ゼロカーボンというテーマがあるので、環境の取り組みは阪神さんと尼崎市とで一緒にやっていこうと会議を重ねています。6月の環境月間に合わせて試合での共同イベントを開催したり、9月にはSDGs週間もありますし、地域の方々に喜んでいただけるイベントをできないかと計画しています。地域全体がにぎわえばいいですし、公式戦に来ていただいた方には、周辺の商店街にも立ち ↓↑ 寄っていただくような取り組みができないか、スタンプラリーなどを考えていきたいと思っています。大物の隣駅になる尼崎駅、杭瀬駅には商店街がありますので、一駅越えてもらって、地域のお店に消費していただければ」

 -2軍からスターが生まれてほしい。

 「ドラフトでは今朝丸選手が指名されましたが、地元兵庫の選手というのも大きいなと思っていまして。尼崎のファーム施設で育って、伝統ある甲子園に行くまでの若い下積み時代を尼崎で過ごしてもらえるのは、すごく期待が高まります。ドラフトで注目される選手が入ることで、ファンの方には足しげく球場に通っていただけますし」

 -市として「阪神ファーム活性化基金」も実施している。

 「開業後に一緒に地域を活性化していくための取り組みに使う財源として、寄付を募集しています。特典としては、3月1日のオープニングゲームに先行してスタジアムに入って、バックヤードツアーをしたり(現在は受付終了。今年度以降の特典も企画中)、ファンの方に楽しんでいただけることを考えてます。対象は尼崎市民だけではなく、市外の方でも寄付していただけると税額控除されますし。特典としてイベントなどに参加していただける仕組みで、開業記念品なども作りたいと思っています。おととしの優勝後くらいから始めていますが、すでに1000万円くらい寄付をいただいてます」

 -この先5年、10年とどのような施設になるのが理想。

 「人気球団のファームに来ていただけるのをトリガーにして、市としても観光であったり経済活性化につなげていければと思いますし、環境、防災、スポーツの推進がキーワードになっています。防災面ではSGLスタジアムが津波の一時避難場所になったり、災害時の備蓄庫、非常用電源、マンホールトイレが敷地内にあったり、防災機能も充実してますので。地域に愛されて、いろんな人に使っていただけるような施設にしたいですし、ファンの方には尼崎の魅力を発信する場所になることを願っています」

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