藤浪!オレを鬱陶しいと思うなよ!
‐金本氏は先月、球団から臨時講師として新人ら寮生を前にプロの心得を説いた。この時、藤浪投手には聞きたくて聞けなかったことが…。
藤浪「金本さんは『表の努力と裏の努力がある』と言われていましたが、金本さんにとって努力とは、どういうものですか?」
金本「オレが思う努力というのは、しんどい時に決めたことをやる。これが努力だと思う。例えば、打撃練習でも自らいける!と思う時は、努力とは言わないと思う。きょうはしんどいし、体も痛いし、もうやめたいなあという時に心をグッと鬼にして、よし!決めたことはやろう!という、これが努力だと思う。トレーニングでも好きでやってるヤツおるからね。それは努力じゃないでしょ。オレはもともと好きじゃないから。特に下半身のトレーニングとかきつかったから、すごい嫌やったけど、これはやらないといけないんだと思ってやるのが、努力だと思う。それができなかったのが新井貴浩であり…(笑)。もういいかなって思う時って、あるやろ?そこで休まないこと」
‐阪神では過去20年間でドラフト1位があまり育っていない。藤浪投手にアドバイスは?
金本「新人研修でも言ったよな。プロで何もやってないのに、騒がれることを恥ずかしいと思わないといけないって。プロの土俵で活躍して、注目してもらうことを喜びとしないと。(大勢の報道陣を指さし)いま、こういうの鬱陶(うっとう)しいでしょ?鬱陶しいと思わん?」
藤浪「(苦笑)」
金本「藤浪!オレを鬱陶しいと思うなよ!」
(一同爆笑)
金本「まあ、それがドラ1の宿命でね。物珍しさもあって、新聞ではどうしてもドラ1とかFA選手が中心になる。記者も仕事がないから(笑)、記事を作らないといけない。これは極論だけど、例えば、今年1年、1軍で登板がほとんどありませんでした。来年、2年目のキャンプがきました。そうなったら、一切、新聞に載らんから。3面か4面の鳴尾浜情報とか安芸情報で、『藤浪、2年目の飛躍』みたいな感じの記事になるから。まあそんなもんよ。この1年間、こういう取材っていうのは、ドラ1だからであってな。プロの土俵で勝ってナンボの世界ってことは(鳴尾浜で)言ったし、藤浪自身、ちゃんと分かっているよな」
‐金本氏から見て、阪神でこの先輩についていったら間違いない!という選手は。
金本「今は、みんなコツコツやっていると思う。新井のマネだけはすんなよ!とだけは言いたいけどね(笑)。やってるフリを覚えたらダメ。だけど、抜くことは大事よ。息抜きすることも大事。うまいさぼり方というのかな。オレなんか、全体練習するの大嫌いやったから。抜きまくってたからね。アップとかノックも適当にすることもあった。全部が全部、全力とかありえない。グラウンドレベルで全力でやっとったら、個人練習ができなくなる。その代わり、個人練習は一生懸命やっとったよ」