中日キャンプで起こった悲しいこと ファンとはどうあるべきか考えてみた
阪神ファンのボクとしては、沖縄の1軍キャンプにも安芸の2軍キャンプにも行けず、残念で仕方がない。キャンプを観に行った知り合いによると、例年にも増して今年は矢野新監督をはじめファンサービスがすごく充実しているとか。即席のサイン会などが増えていたそうだ。
その阪神と同じ沖縄でキャンプを張った中日。そこで起こった悲劇には大きなショックを受けた。松坂が移動の際、何者かに右腕を引っ張られ、その後肩に違和感が出たのだという。松坂といえば去年6勝のうち阪神から3勝を挙げた虎キラー。今年こそ松坂撃ちで、去年の借りを返してほしかったのだが、その相手がファンのせいで大幅に調整が遅れてしまうとは何ともやるせない心境だ。
ファンが選手にサインをおねだりする行動は昔から問題視されているが、ネット社会に入り深刻化しているのがサインの転売だ。一部のファンが利益を目的としてサインをもらい、オークションサイトで出品しているのだ。転売防止に必ず相手の名前を聞いて、サインの横に「○○さんへ」と書き込むようにしている選手もいる。元近鉄などで活躍した中村紀洋氏は転売が横行していることから先日、自身のツイッターで、今後送付されてきたサイン依頼に一切応じないとつぶやきました。
ファンはときに狂気な面を見せる。「ファン」という単語の由来はfanaticの略で、その単語の定義は「過度な情熱と猛烈かつ無性に忠誠心であふれている人のこと」。また、原語のラテン語では、「無茶かつ絶妙に奮い立たされた」の意味がこもっているそう。猛烈に無茶な情熱とは…あんまり良いイメージではないね。
言っておくが、僕はサインを求める人を否定するつもりは一切ない。僕自身ももらったことがあるし、もらったことで「特別な」気持ちになったし、一層その選手を応援しようという気持ちが強くなる。
だが、サインをもらってSNSなどで自慢するのは理解できないし、ましてはサインを転売するなんて…。はっきり言って、そういう人はファンではないと思う。
矢野監督は選手たちに積極的にファンサービスに心掛けようと促している。これは大変素晴らしいことだ。選手とファンの距離。そこを十分に考えて我々ファンは選手たちが気持ち良くプレー、そしてファンサービスを行えるようにしたい。
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。98年初めて来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」(http://www.thehanshintigers.com)で阪神情報を配信中。