鳥谷、メッセ、ソラーテ、バッキーさん…4人との“お別れ”から学べること
熱狂的阪神ファンの私にとって、今月はとてもツライ1カ月だった。理由は4つの衝撃的な“お別れ”。実は最近、悲しさのあまり純粋に阪神を応援できてないので、見方を変えて4人との別れから「何か学べたらいいなぁ」と考えてみた。
ソラーテは「モチベーションが上がらない」という理由で日本を去った。でも突然すぎる退団は「モチベーション」以上の問題があったと考えるのが普通。入団時、2軍降格時、また最後の1軍昇格時に、球団側はどうコミュニケーションを図ったのだろう。少なくとも十分にケアしたとは言えない。これを自分に置き換えてみる。コミュニケーションを図る時、相手の心境を考えられているだろうか。球団と選手のみならず、これは人間関係を築く上で基礎中の基礎だと思う。
次は、長年チームの顔だった鳥谷への“引退勧告”について。本人は現役続行を願っているが、球団は来季構想外として引退を打診。話し合いは平行線で今季限りでの退団が決まった。構想外という判断は仕方ないかもしれないけど、長年の功労者に対する球団の配慮が足りないとも言える。鳥谷も話し合いの中で、冷静に自己評価ができていただろうか。ここでの教訓。私は周囲の“功労者”(両親、先輩、上司など)に十分に敬意を払っているだろうか。そして、自分自身を客観的に見ることができているだろうか。
次はメッセンジャーの現役引退について。NPB通算100勝を目前にしての引退決断だが、個人記録よりもチームを優勝させられなかったことを悔しがっていた。果たして私は自分の成功よりチーム(つまり、家族、会社、国など)を思って努力できているだろうか?
最後に元虎戦士バッキー氏の死去。彼はここ数年、故郷ルイジアナ州から後輩の活躍をチェックし、自分の記録をメッセンジャーに塗り替えて欲しいと願っていた。それと同時に、もう一度、甲子園を訪れて元チームメートに再会したいと強く希望していた。彼にとっての財産は「家族」そして「日本での生活」だったという。
私も外国人として、日本という素晴らしい国に住み、多くの出会いに恵まれてきた。今までお世話になった日本の方々、そして家族の人生を心から応援したいし、私が死んだ後、バッキーさんのように『愛を注いだ人』『愛された人』として覚えてもらえたらうれしい。でも…まだまだ“中年”なので、どんなに努力しても“バッキーさんの域”に達するのはずっと先になりそう。
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年初めて来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」(http://www.thehanshintigers.com)で阪神情報を配信中。