Tシャツが代弁する阪神ファンの心 「最後はため息…」でも「今年はなんかやりそうや!」
甲子園球場の近くにある「ビート魂ショップ」っていうお店を知ってますか?そこで売られているTシャツが実に面白い。なぜなら、背中にプリントされている「詩」が阪神ファンの春先の気持ちを的確に表しているからです。
◇ ◇
毎年いつも
夢みるねん
今年こそはと
夢みるねん
しかし最後は
ため息や…
それでもファンは
やめられん
それでも応援
やめられん
今年はなんか
やりそうや
ほんまになんか
やりそうや!
◇ ◇
心当たりはないでしょうか?今年に限らず、僕は毎春こんな気持ちです。キャンプ報道を見る限り、今年の阪神タイガースも希望に溢れている。でもね…ファンになって6年目の僕は、毎年同じようなネタを読んでいる気もするんです。
■今年は優勝!
確かに矢野監督は「オレは優勝するって決めてんねん」と公言しているし、選手も同調している。ただし、僕の記憶が正しければ、2015年の和田監督や2018年の金本監督も同じようなことを言ったと思う。でも2人とも優勝を逃し、その年で辞任してしまった。
■バースの再来
今年はボーア選手が期待されてるけど、この30年間はずっと「バースの再来」を探し続けている気もする。2月の時点で「これは本物だ」と思っても、やはり勝負は蓋を開けてみないとわからない。何れにせよ、新外国人選手にそういう重たいレッテルを貼るのは理不尽だと思う。5月ごろにそのレッテルを剥がして「グリーンウェルの二の舞」を貼り付けることがないように祈るばかりだ。
■藤浪晋太郎は復活する!
昨年の秋季キャンプに続いて今年の春季キャンプにも球界のレジェンド・山本昌氏を臨時コーチとして招聘したのはすごく嬉しいことでした。ですが、同氏から藤浪に対しての「もう大丈夫」という絶賛の言葉は信じていいのでしょうか?
■熾烈な内野陣のポジション争い
確かに内野のレギュラーは決まっておらず、競争が続いている。昨季のリーグワースト102失策を減らさないと優勝が見えてこないと思うが、最近の実戦でもミスが多発していて「熾烈」の言葉でちょっと首を傾げてしまう。本当に開幕したら守りの野球ができるだろうか?
…といった感じでたくさん心配事はあるけれど、それでも僕は阪神タイガースの優勝を信じています。逆転CS進出を果たした昨季も最終的には「しかし最後はため息や…」で終わってしまった。それでもやっぱり開幕が近づくと「今年はなんか やりそうや ほんまになんか やりそうや!」と信じている。
僕に限らず、ファンの阪神愛は聖書に記されている「愛の定義」に近いと思う。愛とは…「全てを我慢し、全てを信じ、全てを期待し、全てを耐え忍ぶ」ということ。今年も僕は「若手選手の育成を我慢し、優勝を信じ、もがいている選手の復活を期待し、たとえ外国人野手が不振であっても耐え忍びます!」
そして…秋に「信じてよかった!」と美酒を味わいながら言いたいなぁ。
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」(http://www.thehanshintigers.com)で阪神情報を配信中。