阪神の優勝が危ない だから「引き分け」なくしませんか?

 阪神ファンと同時に日本プロ野球ファン歴も7年の僕。外国人の中ではベテランの域に入ったと感じている。12球団のチームカラー、歴史、レジェンド選手などは知っているつもりだし、多くの“新米外国人NPBファン”から質問も受ける。そんな感じで日本野球の素晴らしさを知っているつもりの僕だけど、それでも納得いかないことがある。その一つが「引き分け」だ。

 MLBに引き分けは存在しない。だからその存在を伝えると、外国人ファンは必ず「Why?」と非常に驚く。コロナ禍の昨年と今年に限っては、九回打ち切りで仕方ないかもしれない。でも、それ以前から引き分けはあった。なぜだろう?

 アメリカだと大抵は車で球場に向かうが、日本だと公共交通機関が主な手段。引き分けは「お客さんを終電に間に合わせるため」かもしれない。僕がそう説明すると多くの“新米外国人ファン”は納得してくれる。それでもやっぱり不満だという。決着のつかない野球には違和感があるからだ。

 僕自身は以前まで、引き分けがあってもいいと思っていた。けれど最近は意見が変わった。理由はズバリ、阪神の優勝が引き分けのせいで消滅する危険性があるからだ。31日の試合前時点で、阪神の引き分けは他球団と比べて圧倒的に少ない「3」。これが今のところ不利に働いて、ゲーム差で上回っているのに首位を明け渡した。このままだと東京のチームが優勝してしまうかもしれない。

 2014年のパ・リーグ優勝争いを覚えていませんか。ソフトバンクとオリックスが最後の最後まで熾烈な争いを演じ、最終的にお互いに18の勝ち越しで公式戦を終了。ところが引き分け数がソフトバンクの6に対してオリックスは2。その結果、ソフトバンクが勝率でわずかに上回った。ただ、勝利数はオリックスが80勝でソフトバンクは78勝。ルール上はソフトバンクの優勝になったけど、僕は勝利数の多い方が優勝チームであるべきだと思う。極端なことを言うと、仮に1勝142分のチームが現れると勝率は10割。一方で142勝1敗のチームは勝率・993になり、優勝を逃してしまう。どう思います?勝ちが多いチームの方が優勝にふさわしくないですか?

 今年のセ・リーグには同じ結末があり得る。MLBの全てを真似すべきとは思わないけど、引き分けはどうにか考え直した方がいい。そこで以下の2つの提案はいかがでしょう?

 (1)引き分けを「0・5勝」として計算する。2014年のパ・リーグに当てはめて計算し直すと勝率はイーブン。そこから直接対戦の勝率やプレーオフで優勝を決めたら、よりフェアになりませんか?

 (2)タイブレーク方式の延長戦導入。走者1、2塁からスタートすれば点が多く入ることもあり、決着がつきやすい。抑える投手はよりかっこよく見える。僕が大好きなアイスホッケーでは、数年前に特別なオーバータイム制度が導入された。当初は批判が多かったけど、最近では大多数のファンが納得している。

 もちろん、これらは“ど素人”の考えです。けれど、昔の制度が今後ずっとあるべきだとは限らないし、むしろ少しぐらいは変化があっていいはず。とにかく“引き分け問題”で阪神が優勝を逃したら悲しいから、早く変えて!(笑)

 ◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。

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