なぜ阪神を応援するのか 日本在住の外国人阪神ファンたちに「きっかけ」を聞いてみた
9月14日、球団史上最速で阪神が優勝を決めた。カナダ人の筆者は当日、幸運にも3塁アルプス最上段のローソンデッキで歴史的瞬間を味わった。ちなみに一緒に観戦した16人のうち11人が外国人ファン。うち4人はわざわざアレのために来日した強者だ。“国内組”にも、はるばる鹿児島県からやってきた親友がいた。前回のコラムでは、世界中にいる外国人の阪神ファンを紹介したけど、今回は「日本在住外国人ファン」にスポットライトを当てたい。
まず最初はオーストラリア出身で岡山在住のジェイミーさん。2002年に甲子園を初体験し、一気に阪神の虜になった。彼の財産は球場でのファン同士の交流。経営している英会話学校が忙しくて観戦機会は少ないけれど、今でも甲子園を訪れるたびに「鳥肌が立つ」という。今回の優勝は自宅で見届け、岩崎投手が横田さんのユニホームを掲げて胴上げされたシーンに、とても感激したそうだ。
次はアメリカ出身で石川在住のベンさん。もともとMLBのカブスファンで、同球団に所属した選手(マートン、福留、藤川、ドリスなど)が多数いたことから阪神を応援するようになった。最近は甲子園から遠ざかっているものの、次の機会を虎視眈々と狙っている。
次は野球と縁遠いスペインから東京にやってきたパウさん。サッカーの名門バルセロナを愛する彼が阪神ファンになったキッカケはこうだ。03年に来日した際、阪神vs巨人のライバル関係がバルセロナと宿敵レアル・マドリードの関係と似ていることを認識。そこから阪神に愛着を感じた。ファン歴20年で甲子園での試合観戦は1度きりだが、関東圏でのビジターゲームには定期的に参戦。敵地であっても、ともに応援することで阪神ファン同士の結束を強く感じるそうだ。
同じく東京在住のアレハンドロさんは来日前からの阪神ファンだ。テキサス州での大学時代に強烈な阪神ファンの日本人留学生と遭遇。その留学生から「大学スポーツファンの熱狂ぶりが阪神ファンに似ている」と聞いて興味が湧いたという。その夜、飲みながら14年の日本シリーズハイライト動画を見て早速ファンに。その後来日し、神宮球場でのヤクルトvs阪神を観戦して思いが倍増した。父親が10月末に来日予定だそうで、ぜひとも甲子園に連れて行って阪神の魅力を伝えたいと熱望している。
アメリカ人のアダムさんは青森在住。日本人女性と結婚し、なぜかお互いの贔屓チームの宿敵を応援することになり、奥様が巨人ファンだったため、彼は阪神を応援している。ファン歴8年ながら、お気に入りの選手は「ランディ・バース」。レジェンド助っ人は外国人の間でも今も英雄。でもそろそろ新しい伝説の選手が現れないかな?
最後は兵庫・芦屋在住でニューヨーク出身のジョンを紹介したい。彼は札幌在住だった25年前、円山球場での阪神戦に誘われた。友人いわく「チームはさっぱりやけどファンは強烈」。当時の阪神は暗黒時代真っ只中だったが、友人の言葉どおりファンの応援スタイルに圧倒されたという。「確か1998年だった。あの頃は横浜ベイスターズの38年ぶりの日本一で騒いでいた。38年ぶりと言えばね(笑)」。ジョンは当時を回想しながら、阪神の38年ぶり日本一を強く願っている。
以上、私のSNS上でのアンケートに答えてくれた一部のファンを紹介しました。日本中に阪神ファンはいると言われるけど、中には“助っ人ファン”もいるよ!日本一に輝いてもらって、全世界の阪神ファンで歓喜の輪を作りたいな。
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。