なぜ阪神の盗塁数が減ったのか カナダ出身ファンが考えた理由 MLB流導入で「シンF1セブン」結成を願う
後半戦に入って息を吹き返した阪神タイガースだけど、昨年と比べたら苦しんでいる。筆者が思う「波に乗れなかった理由」は失策の多さでもなくホームランの少なさでもない。最大の要因は走塁に尽きるんじゃないかと。
96試合消化した(8月1日)時点でのチーム盗塁数はリーグ5位の29個。このペースだと43個でシーズン終了になる。昨年の79個から大きく下回るし、矢野監督時代の110個(22年)、114個(21年)と比べれば洒落にならないほど低い数字だ。盗塁数だけでなく成功率も低くなっている。21年からデータを見ると79.2%→75.9%→73.1%→50.9%と下がりっぱなし。
チームトップの近本選手はリーグトップの12盗塁だけど、成功率66.7%は彼にしては低い。チーム全体を見ても今年のタイガースでは走塁死が増えた印象がある。本塁突入タッチアウトや牽制死をゼロにするのは難しいけど、出塁率が低い上に走塁死も増えたことで、走る勇気が出ないのかな?(数字は筆者調べ)
と言っても盗塁数の減少は阪神だけの問題ではない。投手のクイック、捕手の送球といったバッテリーの技術向上が大きな要因だろう。でも、そのバッテリーを上回るスピードスターにもっと魅了してほしい。ホームランは野球の華と言われるけれど、盗塁の迫力も負けていない。日本プロ野球でもっと盗塁が増えるためには何が必要なんだろうか?
個人的にはMLBのルール改正に習ってほしいと思っている。まずはベースの面積を大きくする。MLBは一辺あたり3インチ(約7.6㎝)拡大したことで、塁間が4.5インチ(約11.4㎝)短くなった。間一髪のプレーがより多くなり、盗塁成功率も高くなった。加えてピッチャーの牽制球の回数に制限をかけたことで、走者がより早いスタートを切ることができている。
なんでもかんでもMLBを真似るべきではないけれど、これについては採用してほしいなぁ。メジャーリーガーと比べるとはパワーで劣るNPBの選手たち。でもその分、機動力を使える選手は多いはず。その強みをどんどん活かせば、観てる側のワクワク感も高まって、より良い娯楽になるのでは。阪神ファンの皆さんも、筆者が独断と偏見で選抜した『シンF1セブン』(近本、中野、島田、熊谷、植田、小幡、福島)の盗塁をもっと見たくないですか?
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。