一枚岩なんて必要か?
【11月16日】
佐々岡真司らカープ首脳陣から心配された。「カープの記事をよう書いとるね」。一昨日まで滞在した広島キャンプ地でのことだ。彼らは何を言いたいかといえば、カープを題材にした原稿は虎党に需要があるのか…ということ。
誤解してもらっては困るが、カープが2位や3位なら書かない。セ・リーグで3連覇した王者だから取材させてもらっている。長いプロ野球史で3年連続優勝は〈セでは〉巨人と広島だけ。編成方針や育成法、練習内容…。参考にしたいという思いは、阪神に限ったことではない。そんな認識で時々お邪魔させてもらっているのだ。
さて、宮崎から高知へ帰ってきて、再び安芸で虎を追う。ケージ裏に指揮官が陣取り、各コーチが指導にあたる風景は前政権と変わらない。〈外からの〉見た目はともかく、新監督の矢野燿大は何かを決定的に変えていこうと思慮していると思う。最下位発進だから当然である。矢野が考える「勝てる」メソッドがあれば、金本知憲の遺産を継ぐ必要はないと思う。100%矢野流のほうが選手、スタッフは分かりやすいし、また、僕もそれを楽しみにしている。
「なんで金本と高橋(由伸)がやめたのか、いまだに理解不能」
「一枚岩のチームを作れなかったことが(金本前監督にとって)一番の誤算じゃないの?」
14日放送された『戦え!スポーツ内閣』(毎日放送制作)のなかで、落合博満が相変わらず剛速球で過激なコメントを発していた。
僕がこれをみた率直な感想は、現実にプロ野球の球団で一枚岩なんてあり得る?ってことだ。カープだってホークスだって「一枚」とはいえない。取材の限り。
たとえ二枚、三枚であれ、優勝を目指さなきゃいけない。じゃ、どうするか。「自分がいかに練習しないとこの世界でメシを食っていけないか…。それを選手にどうやって教えるか」。これが阪神監督の仕事だと落合は語っていた。こちらの言い分は、なるほど…。
この日、安芸で江越大賀をずっと目で追ってみた。先述したカープの(野手&投手)首脳陣に聞けば、阪神で最もレギュラーに定着してほしくない選手は「江越」だというのだ。大成したら厄介。そんなニュアンスである。金本の江越に対する期待値も高かったし、矢野も同様。阪神がこの駒を活かせるか否か。注目してみたい。
左の大砲が不利な甲子園に於いて、どうにか右の大砲(レギュラー)が育ってほしい。長年期待されていることだけど、難しい。
少しマニアックなデータを調べてみた。今季セの和製右打者(規定打席到達者)で甲子園開催の試合で平均飛距離が最も出ていたのは誰か。73・48メートルの鈴木誠也がトップだった(データは共同通信デジタル)。阪神はそもそも右打者の規定到達者が梅野隆太郎(平均飛距離15位)ただひとり。まずこれを問題視したほうがいいが…。
脚力と長打力を兼ね備えた稀有な右のスラッガーを戦力に。今年ホーム甲子園で負け続けた虎の優先課題だと考える。=敬称略=