兵器っぽくなく…梅○○
【1月16日】
伊丹空港発の飛行機で沖縄上空を飛んでいた15日午前、米軍嘉手納基地のF15戦闘機が北谷町海岸約600メートルの沖合で照明弾を発射した様子が確認されたという。16日の琉球新報朝刊によれば、目撃した住民が筋状の煙が流れ落ちる様子を撮影していたそうだ。沖縄では過去に照明弾の誤射があったそうだけど、物騒な話ではある。
僕らが〈この業界独特の造語〉で何気なく○○弾とか○○砲とか書き綴っているけれど、日常にその種の危険があればどうだろう…と自問する自分がいたりする。
ご存じ「甲斐キャノン」だって由来は、ガンダムのガンキャノン(って、皆さんご存じですか)。要は両肩にキャノン砲を従えた兵器で、その凄まじさと甲斐拓也の強肩をラップさせているわけだ。虎を追う当欄では、野球らしく、爽やかな造語を考えてみたい。
「風さん、こんにちは。今年もよろしくお願いします」
いやぁ、こちらは爽やか。宜野座のベンチで梅野隆太郎が挨拶にきてくれた。そうそう、南国まで照明弾を拝みに来たんじゃない。今回のターゲットは新生〈梅野組〉の合同自主トレだ。
梅野といえばそれこそ強肩が代名詞であり、甲斐のそれと比較されがちだけど、忘れちゃいけないのが発射するほうではなく、堰き止めるほうの凄まじさ。今年は年間通して数えてみようかなと思う数字がある。走者三塁でのワンバウンドストップである。昨季、走者三塁の局面で梅野がラファエル・ドリスの高速バウンドを何度止めたことか。これを確率で示せば彼の価値がよく分かる。接戦の終盤で安心してこの仕事を任せられる技。正捕手の条件はこれ一つじゃないけれど、全イニングを託されるべき稀少な要素だと思う。
「僕は元々体が硬いんですよ。だから胸を張って止めるというよりも、少し丸まって、前屈みで前へいきながら、止める。なかなか字にすると伝わりにくいかもしれないですけど、こういうふうに前屈みで歩くというか。だから、ドリスのエグいワンバウンドでもそのイメージさえもっておけば…」
番記者への取材対応前、梅野に「神ストップ」を身につけた方法を野球少年のようにぶつけてみると、わざわざ膝をついて実演しながら、丁寧に説明してくれた。
それって、鍛錬で磨かれる賜物?そりゃ、経験値もあるだろう。
「藤井さん(彰人バッテリーコーチ)から『そのやり方って自分で見つけたん?』って聞かれました。経験もそうですけど、僕の場合、自分で…というか、常にワンバンをイメージするので、体(の反応)がそういうふうになってきたんです。体で止めるとき、ボン!というイメージではなく、ドドドド…と前へいくイメージです」
エグいワンバウンドを後ろへも横へも逃がさず、自らの守備範囲内に収める。梅野の技術は12球団随一といわれる。最下位チームの捕手がゴールデン・グラブ…衝撃は甲斐の肩と双璧だ。この〈専売特許〉に爽やかで粋なネーミングはないだろうか。=敬称略=