国頭には「強打者がいます」
【2月25日】
ダイヤの原石はこの環境で輝くのか。青い空と雲。捕まえたくなるほど心地よい太陽の光と鮮緑のフィールド。〈隣の芝は青い〉とはいうけれど、これほどまでに青いのか。いやぁ、往復3時間かけて行ってきた甲斐があった。
他より一足早く打ち上げた日本ハム2軍のキャンプ地へお邪魔してきた。宜野座からレンタカーで北上して1時間半。名護を越え、大宜味村を越え、その先にある国頭(くにがみ)村に吉田輝星や柿木蓮、万波中正、野村佑希ら甲子園を沸かせた金の卵たちがいた。
この雰囲気をどう書けば伝わるだろう。下の写真をご覧いただくと、少し感じてもらえるか。外野場外の歩道に粋な看板。「強打者がいます」って…。輝星が歩いていても、ファンは温かく見守っている。ほのぼの感が半端ない。
宜野座とは、お客さんの数も、マスコミの数も、景色も違うけれど、それだけじゃない。このチームの醸し出す空気感が別次元というか…。かつてダルビッシュ有や大谷翔平、そして清宮幸太郎もこの環境で1年目を過ごしてきた。
取材する番記者はおそらく5人ほど。皆さん、イイ顔をしている。イチゲンの僕が歩いていると(オッサン風情だったから?)向こうからどんどん挨拶してくださり…。たまたま不在だった本紙のハム担当からは「本当に取材もしやすい環境ですよ」と聞かされていたが、全くその通りで、滞在した3時間がとても心地よかった。
「表現は難しいですけど、自由な雰囲気はありますよね。(引退後)解説者として見た日本ハムのキャンプは、僕の現役のころとはまた違う、新しいファイターズというか…。それが今の時代の育て方かもしれないですし、ダラダラになるのは良くないですけど、ウチの(投手陣)もいい部分は取り入れればいいと思っていますよ」
宜野座へ帰って、日本ハムOBの金村暁(投手コーチ)を取材すると、そんなふうに語っていた。
また、これとは違う角度の見方だけど、阪神を取り巻くコミュニティー〈おそらく、ファンの間でも〉時折こんな仮説が飛び交う。
もし、藤浪晋太郎が日本ハムに入団していたら-。
言わんとすることは分かる。だけど、虚しい。阪神編成ディレクターの永吉和也は僕に言うのだ。 「ウチはマスコミの方から必要以上に書いていただくので(笑)選手は嫌でも目に入るんですよ。ここもアカン、そこもアカン…とこれだけ細かく書かれるのは12球団でウチくらいでしょうし、そういう意味では、どこよりもストレスは強くかかると思います」
外的な環境が悪いと言いたい?
「周りでそう言う人もいるかもしれないですけど、晋太郎本人はそうは言わないでしょうし、どんな言い訳も望んでいないと思います。この環境で藤川球児、鳥谷敬というスターが育っています。なかなか、そこは取り上げていただけないんですけどね…(苦笑)」
藤浪のブルペン投球に目を凝らしていた永吉は言いたげだった。
晋太郎は大丈夫…と。=敬称略=