新庄「阪神復帰」の可能性
【12月7日】
問題です。新庄剛志が阪神からドラフト5位指名された1989年。その年、阪神が1位指名した選手は誰でしょう。オールドファンならよくご存じの豊作年。史上最多8球団が競合した…。
答えは、野茂英雄。
世界のNOMOはいうまでもなく、確かに、89年ドラフト組は大成した選手が多かった。
じゃ、野茂を狙わなかった残り4球団といえば?
巨人のほか、広島、中日、西武である。
広島1位指名の佐々岡真司、中日から1位指名された与田剛はそれぞれ監督を務め、西武1位の潮崎哲也は同球団の編成グループトップに。そして、巨人1位の大森剛は巨人の現統括スカウトで最近では坂本勇人の担当スカウトとしてよくメディアに登場した。
クジで野茂を外した球団では、大魔神・佐々木主浩(大洋外れ1位)、古田敦也(ヤクルト2位)や前田智徳(広島4位)、岩本勉(日本ハム2位)…。近鉄3位の石井浩郎も、ダイエーの1位指名を拒んだ元木大介(現巨人ヘッドコーチ)もそうだ。
今の若い世代も知る名前が並ぶが、阪神はどうか。同年は、野茂の外れ1位で葛西稔が入団し、新庄は下位。さて、当時のデイリースポーツはその後のプリンスの活躍を予期していたか。いや、どんな奇抜な予想屋でも「新庄推し」はなかなか…。そもそも、あの年の新入団会見は検索するのに苦労するくらいの小さな扱いだった。
89年12月23日付の本紙、2面モノクロで写真は他7球団のそれよりやや大きい程度。1面は有馬記念の武豊に奪われ、3面は巨人の水野雄仁と藤田元司監督。ブレないデイリーの面影はなかった?
あれから31年、48歳になった新庄がこの日トライアウトでタイムリーを放ったけれど、デイリースポーツは新庄を1面に…しなかった。なんでや?阪神が極秘で新庄を獲得調査してたらどうすんの?そう仰る読者に、しっかり応えなければいけない。
残念ながら(?)阪神が新庄を獲得する可能性は「0」。取材の限り、阪神球団内にタテジマ復帰を願う声はなかった。
だから、1面は佐藤輝明で決まり。野茂には及ばないものの4球団競合した逸材がどんな道を歩むのか。西宮出身で西宮の少年野球チームに属した彼の噂はよく聞こえてくるが、現在地は…。
佐藤のそれを知る知人に「どんな選手か」と聞けば、「和を大切にする選手ですよ」と語った。
18歳の新庄が金屏風の前で語った抱負は一行も紙面に載らなかった89年だけど、本紙のアンケートに答えたコメントは載っている。 阪神の来季の順位予想を-。
最下位、最下位、5位…と続いた暗黒期のど真ん中。他の新人が「3位」や「Aクラス」と答える中、新庄はこう答えていた。
「優勝だから、1位です」
残念ながら当たらなかったが、言い切る胆力。今年の入団会見を聞く限り、佐藤にも備わるストロングと見る。=敬称略=