松坂の同級生は言う
【2月2日】
報道ステーションの新キャスター松坂大輔が、日南でカープ野手総合コーチ東出輝弘にインタビューしていた。2人は同級生でありともに高校時代ジャパンで活躍した「松坂世代の代表格」である。
「東出コーチが1軍に戻ってきたのは心強いです」
キャスターデビューを飾った松坂はニッコニコで話していた。
東出といえば、打撃コーチとして緒方カープの3連覇に貢献したのち、昨年まで2軍コーチとして若鯉の育成に心血を注いだ。3年目の佐々岡カープを支えるため再び1軍へ呼ばれた格好だけど、松坂の取材に「プレッシャーですねお互い」とこちらも笑顔だった。
松坂はもちろん、東出もドラ1入団である。名門敦賀気比の投手兼遊撃手…いわゆるエリートだけれど、プロで歩んできた道は「平成の怪物」とはまるで異なる。
「たたきあげられましたから」
東出は笑う。20余年前、僕がドラフト取材した縁もあって、今もよく話すのだけど、彼は広島でも当欄をよく読んでくれている。
「デイリースポーツを買う人は2面と3面、2つのコラムしか読まない人が多いと思いますよ」
おいおい、そんなことないぞ。
「風さんと話してるから言ってるんじゃない。読者の意見として言っているんです。少なくとも僕はコラムを読む為にデイリーに150円を払ってる。140円から値上がりしたの知ってます?」
そりゃ知ってるけども。
ちゅうか、それこそ、こっちはプレッシャーやないか。
この東出という男は、昔からとにかくはっきりものを言う。ほうぼう気遣って回りくどくないので好感を持てるのだけど…しかし、叱られ慣れていなかった若鯉たちは、きっと大変だろうな。
「中村奨成なんて、僕のこと大嫌いだと思いますよ。小園もそうでしょうね。練習でも、試合でも『姿勢』に関しては、めちゃくちゃ厳しく言ってきましたから」
甲子園のスター選手にそんなふうに接したら、あちこちにカドも立つやろうに。
「僕なんて嫌われても構わないですよ。育ってくれればそれでいいし、こいつを見返したろうと思ってくれればいい。彼らが育たないとウチは勝っていけないので」
ご存じにように、カープは助っ人をバンバン獲るわけでも、FA補強に積極的でもない。有望な芽が萎んでしまえば、光はかすむ。
そんな目で阪神キャンプを浮かべれば、リアルな嫌われ役、憎まれ役は誰か。いや、取材できていないだけで、きっといるのだ。
東出コーチ!松坂にも話したと思うけれど、教えてくれへん?
こいつを見てくれ。こいつに期待している。そういう選手を。
「中村奨成です。すごく良くなりました。風さん、見ててください。あいつは必ず出てきます」
はっきり言うね。というか、その口ぶり…何年か前にも聞いたことあったな。あっ…そうか。
必ず、出てきます-彼のことも東出は言ってたな。その男は今年海を渡るんだっけ。=敬称略=