ヴェネチアで倍返しの…
【11月11日】
NHK「あさイチ」のプレミアムトークに俳優の妻夫木聡が出演していた。仕事の支度をしながら見ていると、ナント、僕と同じ失敗談を語っている。へぇ!そうなん!?と、妙に親近感がわいた。
妻夫木が主演を務める映画『ある男』はヴェネチア国際映画祭のオリゾンティコンペティション部門に出品された話題作だが、どうやら現地で災難にあったそうで。
「全部の荷物の中で、僕の衣装が入った荷物だけロストバゲージして。ヴェネチア到着の翌日に写真撮影があったのですが…」
ヴェネチア。映画祭。紛失。
この3つのキーワード…
僕も経験あるんです。
ヴェネチア映画祭で「緑の獅子賞」を受賞した作品『雨あがる』(黒澤明脚本)の主演女優・宮崎美子とばったり遭遇したのは、1999年のことだ。
あの年、サッカーセリエAのヴェネチアへ移籍した名波浩(当時日本代表)を追ってイタリアへ飛んだ。行程が映画祭とかぶり街は華やいでいたのだけど、時の女優宮崎は、スケジュールの合間を縫って名波の試合を観戦。挨拶すると、彼女は本当に愛想良く…いや僕はそれどころじゃなかった。
ヴェネチアの本拠地でロストバゲージ…。大事なものは全て別のバッグに入れていたので事なきを得たのだけど、途方に暮れた。
今回、妻夫木はスタッフの手配で現地のDIORで衣装を揃え、更に「現地の人が『ヴェネチアに来た事を良かったと思ってほしいから』と…」それら衣装を全てプレゼントしてもらったという。
「ロストバゲージしてすごく嫌な思いをしたと思っていたら、逆に倍返しで良い事が返ってきた」
粋なエピソードだ。
倍返しで良いことが返ってくるなんて、スターの証しか-
そんなことを考えながら、安芸の若虎を見渡してみた。
岡田彰布、そして、2軍監督の和田豊が熱心に視線を送るのは、前川右京である。
いまのキミはピカピカに光って~♫
いきなりだけど、この旋律、ご存じ?いや、今の選手は誰も知らない。1、2軍カントクは間違いなく知っている。余談だけど。
前川はピカピカ光っている。
何が?って、スイングが。
安芸でもティーからフリーまで全てフルスイング。見る限り、なでるような振りが一度もない。
そういえば、平田勝男がルーキー佐藤輝明のスイングを初めて見た際に語っていた。
「ウチには、ティーの時から100%、120%で豪快なスイングをするタイプはあまりいない」
前川はまさにそんなタイプだ。
岡田は前川のそんな魅力を智弁時代から感じていたそうで…
「こいつはええなあと思とったよ。バット振れるからな」
今季は同じ箇所の故障を再発する苦境に見舞われた。
嫌な思いをしたと思っていたら倍返しで良い事が…ピカピカに光る前川の2年目を楽しみに待ちたい。=敬称略=