守田さんのパス、アウトです
【11月28日】
ケイスケホンダの解説にハマっている。カタールW杯のそれは前回の当欄で触れたけれど、歓喜のドイツ戦同様、悔しすぎるコスタリカ戦もABEMAで「本田節」を堪能させてもらった。
コスタリカ戦の後半30分過ぎに本田圭佑は言った。
本田「森保さんはギリギリまで代えないと思います」
実況「ラスト1枚のカードですか?」
本田「はい。たぶん。こういうときに現役時代(ポジションが)攻撃的やったか、守備的やったかで最後の交代枠をつかう時間帯、タイプって分かれるんですよ。森保さんは守備的やったんで、たぶんギリギリまで代えへんのちゃうかな。残りの時間が結構ある状態で最後のカードを切っちゃうと、もし、なんかハプニングがあったときに10人で戦わないといけないでしょ。でも、その可能性、低いんですよ。僕やったらここで5枚目代えます。今、代えます」
日本が痛恨のミスから失点したのはこの後だった。既にタッチライン沿いで交代を待っていた5枚目の切り札、南野拓実は天を仰いで何か叫んでいるように見えた。
攻撃的な中盤の選手、本田が代表監督であれば即断する。森保さん、遅いんちゃう-そんなニュアンスにも聞こえた。それはそれとして、興味深かったのは、采配、用兵は現役時代のポジションによってタイプが分かれるという分析である。同じ競技をやっていても視点、考え方は三者三様であり、大袈裟にいえば、理解し合えない要素も多分にあるということ…かもしれない。
プロ野球でも、ある。
現役時代のポジションによって…例えば、投手か野手かによっても、采配、用兵の好みは分かれるように思う。近年の阪神では、外野手出身の金本知憲、捕手出身の矢野燿大、内野手出身の岡田彰布…。守備位置や打順、長年就いたポジションから見える景色によって野球観は違ってくるので監督が代われば、ある意味、選手も「順応」が求められることがある。
森保一のやり方に慣れた選手が仮に「本田監督」になればそれらを迫られるように。
ポジションによって「感性」も違うと本田は言う。コスタリカ戦の後半こんなやり取りがあった。 本田「守田さんのパス、アウトですよ、これ」
実況「アウト?」
本田「右のアウトです」
実況「右のアウトサイドで出したパスということですね」
本田「オシャレって話です。寺川さん、GKだったんですよね?じゃ、オシャレさがちょっと…」
実況「はい、そうですね。ちょっと、あまり理解できないところがあるかもしれません」
実況の寺川俊平アナは早大サッカー部のGK出身。守田英正が左サイドで相馬勇紀に出したパスセンスはGKのあなたには…。ジョーク混じりだったが、「本田の視点」にいちいち納得する。プロ野球でも「岡田の視点」に…。
続きは次回。=敬称略=