6位は当たりがある
【12月12日】
ドラフトで僕が初めて取材した阪神の選手は藤原通である。2001年だから、もう21年も前の話だ。あの年の1位(自由獲得枠)はトヨタ自動車の安藤優也。立命大の藤原は6巡目指名だった。
立命大の食堂でマスコミのリクエストに応じ、カツ(勝つ)丼をほおばった藤原の初々しさが懐かしい。母校が同じという繋がりだけで贔屓目に見ていた強打の外野手だけど、彼はキャリア7年で現役を引退。その後、チームマネジャーなどを経て、この秋から岡田彰布監督付きの重責に就いた。
その藤原が言う。
「ちょっと前に新井さんから連絡あったんですよ」
新井さん…新井貴浩である。
新井は阪神時代、3つ歳下の藤原をかわいがっていた。というか仲良しだった。
二人は束の間、通話したそうだけど、その中身はカープ新監督就任の挨拶だった…と思われる。
ところで、なぜ、この二人が親しくなったのか。ふと、共通点を探ってみると、とくに見当たらない。あえて書けば…
ともに、ドラフト6位。
反骨心。胆力…。やはり、同じにおいがするのだろうか。
20年ほど新入団会見を取材してきたけれど、うん。そのにおい、何となく、分かる気がする。
「開幕1軍ローテ入り。そして新人王です」
この日、晴れの舞台で「1年目の目標」を問われた22年ドラフト6位の富田蓮(とみだ・れん)はそう語った。
ドラフト5位からセ・リーグNo.1投手になった青柳晃洋の背番号50を継承し、成り上がりのスタートラインに立った。
阪神ドラ6の系譜を辿れば…
中野拓夢
小川一平
湯浅京己
岩崎優
原口文仁
そして、ミスタータイガース、掛布雅之も6位入団である。
「6位は当たりがありますよ」
先日、タレント松村邦洋は僕にそう言ってサウスポー富田の右腕(みぎうで)の使い方が「伊藤将司似」であるという記事を嬉しそうに読んでいた。
ドラフト6位のインパクトでいえば、僕が取材してきたNo.1はやはり新井貴浩である。
反骨心のメーターがどれほどだったのか、本人に聞かなければ分からないが、彼を名球会選手にまで押し上げた最大のファクターが「センス」でなかったことは確かである。新井より野球センスに秀でた選手はあの時代、沢山いた。つまり、そういうことだ。
入ってしまえば指名順位は関係ない-この時期よくそんな言葉を聞く。が、これはぶっちゃけ、下位選手激励の常套句である。佐藤輝明、西純矢、近本光司、大山悠輔、岩貞祐太、藤浪晋太郎…ここ十年を見渡しても、表舞台で輝くドラ1の系譜は眩しい。それでものちに「順位は関係なかった」といわせる胆力、そのにおいを僕は富田に期待している。=敬称略=
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