W杯やM-1よりも…

 【12月19日】

 アルゼンチン国内から6万人を超えるサポーターがカタール入りしていた。決勝戦はスタジアムの外から声援を送った人々もいたのだとか。マイホーム貯金を切り崩し、長期滞在費に充てた者も…。

 カタールW杯はメッシ劇場で幕を閉じた。決着は、寝不足のカラダにトドメをさす延長PK戦。感涙の観客にもらい泣きしながら、テレビの前で手を叩いた当方だ。

 「アルゼンチンの人たちは異常です。時に事故が起こるくらい、サッカーに対して熱狂的で、(国内)リーグでも暴動から死人が出てしまうくらいで…」

 ABEMAの解説で本田圭佑はそう語っていた。アルゼンチンに何のゆかりもない僕でさえ、メッシに酔った28日間である。愛する母国と英雄が世界一に輝く歓喜がどれほど尊いものか…。

 さて、吉田のサッカー熱にお付き合いいただいた感謝を、そろそろゆかりの…いや、本職で返さなければ当欄の読者に愛想を尽かされてしまう。虎を書け。そんな声が聞こえるものだから、この日は眠い目をこすって大阪市北区へ。

 デイリー読者の関心は今どこにあるのか。そりゃ、アレでしょ。もちろん、そうなんだけど、アレを夢見る阪神ファンが、W杯や鎌倉殿、M-1より注目するであろう一大行事が、年末に行われる。

 阪神タイガース新オーナーの就任会見がそれである。

 来年1月1日付けで阪急阪神ホールディングス(HD)代表取締役社長の杉山健博がオーナーに就任、現オーナー藤原崇起が退任する。この新旧の総帥が並んで登壇する記者会見が、大阪・野田の阪神電鉄本社に於いて近日中に行われるのだ。杉山のような阪急出身の阪神オーナーは球団史上初めてのことだが、この人事を阪神ファンはどう捉えるだろうか。

 ご存じ、阪急HDと阪神電鉄が経営統合され「阪急阪神HD」が発足したのが06年のこと。親会社が変われば、かつて、ソフトバンクや楽天がそうであったように、プロ野球新規参入に伴う30億円の支払い義務が生じる。が、当時、タイガースのオーナーは従来通り阪神電鉄のトップが担う、つまり「球団経営は阪神のまま」との理解を得る形で、これまで支払いを(手数料を除き)免除された。

 今回の人事は、その認識を覆す向きがあるため、実は、阪神は先週末まで約3週間というタイトなスケジュールのなかで、NPB、並びに他11球団にそれぞれアポイントメントを取り、現オーナー藤原ら首脳が直接出向いて事情説明を行ってきた。

 この丁寧な〈根回し〉が奏功しいわゆる「30億円問題」は16年前同様クリアした格好だが、TwitterなどSNSを見ればそもそも「なぜ、このタイミングで阪急生え抜きのオーナーが?」と感じるファンも多いようだ。もちろん「アレ」するための改革人事に違いないし、僕も期待する。新オーナーを任命するのは現オーナー??注目の会見が、熱狂的なファンの素朴な疑問と尊い希望に沿うものであればと思う。=敬称略=

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