原口は打席に持ち込まない

 【2月12日】

 フミ、打つの早いよ。なんて、車中で愚痴を吐いてしまった。原口文仁の同点弾を知ったのは、レンタカーで具志川から宜野座へ向かう少し前。つまり、会心の衝撃音を聞かずにこれを書いている。

 紅組の5番一塁で先発した原口が、1打席目の初球をかっ飛ばした。才木浩人の154キロを左翼の芝生席へ放り込んだそうだけど、宜野座へ到着してすぐデイリースポーツカメラマンに確認すれば、「打った瞬間でした」という。浮いたボールを見逃さなかった?こっちは痛恨の見逃しである。

 「あれ?風さん、きょうは宜野座へ行かなくていいんですか?剛腕対決を見てきてくださいよ」

 朝から具志川で取材しているとファーム投手コーチの福原忍からツッコミが入った。1、2軍合同の紅白戦は、才木と西純矢の先発で昼過ぎにプレーボール。双方のキャンプ地が遠方なら諦めもつくのだけど、合同キャンプだから割り切れない。どっちも見たいので「具志川→宜野座」「宜野座→具志川」の日々を過ごすことに…。

 この日はファームのキャンプでどうしても見ておきたいものがあった。きたるべき日に必ず書きたい、ある若虎の取材を終えたのは午後2時半。センターから本塁へアゲインストの強風が吹き続けた具志川だったけれど、逆境をはね返すが如く19歳の集中力が時間と空腹を忘れさせてくれたことは、今キャンプ一番の収穫だった。

 昼メシを後回しにレンタカーに乗り込んだときは、もう宜野座の紅白戦は後半戦。フミ、ごめん。虎テレで映像だけは見させてもらった。ちょっと後ろめたい気持ちで宜野座のミックスゾーンに着くと、タイミング良く原口が来てくれた。実は見てなかった…でも、聞かせてほしい。

 前日11日のタイムリーも渡辺雄大の初球だった。2日続けて初球を仕留めることはシーズン中もあること。だけど、結果を出したその2打席の「待ち方」にこれまでにない佇まいを感じるのだ。

 この2月の打席で、一番集中していることって何かな?

 「一番は、色んな考えだったり練習でやっていることをなるべく打席に持ち込まないことです」

 自主トレやキャンプで嫌というほど反復する技術や思考は打席へ持ち込めば時に邪魔になるのか。

 「試合では結果が求められるので、どうしても色んな事を考えてしまうんですけど、頭を整理して打席に立てばシンプルに。ピッチャーとの対戦、ボールに集中。それだけを意識してやっていけたら一番いいと思っているんですよ」

 フミと久々に再会した前日は年甲斐もなくはしゃいでしまった。

 「風さん、ご無沙汰してます。元気でした?今年もよろしくお願いします」

 無邪気に手を振ってくれた原口は、しかし、風格が僕より数段オトナである。取材規制が緩和されじっくり話を聞けるようになった今キャンプは、ありがたみを感じることが山ほど…。フミ、今度は見逃さないので次戦も一発。=敬称略=

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